こども家庭庁令和6年度子ども・子育て支援推進調査研究事業の国庫補助の内示を受け、令和7年3月31日までの間、以下の3事業を実施しました。事業の実施目的や事業内容、報告書等に加え、本事業にて作成した事例集等を掲載します。
事業名 | 事業実施目的・事業内容 |
保育所や認定こども園等におけるこどもの意見の尊重等に関する調査研究 | こどもの意見の尊重については、これまで政策へのこどもの意見の反映や、社会的養護下にあるこどもの文脈での調査研究やガイドラインの策定が先行しているものの、保育所や認定こども園等を対象にした調査研究等は十分に行われていないのが現状である。 そのため、本調査事業では、保育所や認定こども園等におけるこどもの意見や思い、考えの尊重に関する実践上の配慮や工夫等の実態等を把握し、そうした観点からの保育実践の改善・充実に向けた必要な施策の検討につなげることを目的とした。 調査方法としては、全国の保育所や認定こども園を対象としたアンケート調査およびヒアリング調査を実施し、こどもの意見や思い、考えの尊重に関する実践上の配慮や工夫等の事例を収集した。また、それらを基に工夫事例とそのポイントをまとめた事例集を作成した。 |
保育所等における乳幼児の健康診断に関する調査研究 | 学校保健安全法における健康診断の対象は幼稚園等の学校であり、結果として3歳以上児が対象となっているのに対して、保育所、幼保連携型認定こども園等(以下「保育所等」という。)では3歳未満児もいるため、特に低年齢である乳幼児(0~2歳)の視力、聴力、尿など、こどもの発達の状況によっては、学校と同じような項目を実施することが困難な場合もある。このため、各保育所等や監査等を行う自治体から、各項目の取り扱いや保育所等に合った実施方法等を具体的に示すよう求める声が挙がっている。 そのため、本調査事業では、各保育所等における健康診断の実施や地方自治体における監査等に資する事例等を把握することを目的とした。 調査方法としては、保育所・幼保連携型認定こども園等向けのアンケート調査を実施し、低年齢児(0~2歳)の日常の保育における健康管理や健康診断の実態把握、それらの工夫などを収集し、その上で深堀のヒアリング調査を実施した。 これらの調査を通じて、保育所等における低年齢児の日常の保育活動での健康管理や健康診断の実施方法や工夫、留意事項等を明らかにした事例集を作成した。 |
子ども・子育て支援の今後に関する先進的な取組事例の収集・検討に関する調査研究 | 過去の調査研究事業で明らかにした通り、こども・子育て支援機能の目指すべきビジョンの実現に向けて保育所等が地域と柔軟に連携を取ることが重要となる。一方で、人口減少等の問題がある中で、いかに地域において適切な保育機能を維持し提供し続けるかが課題となっている。 これらの背景を踏まえ、本年度の調査研究においては、取り組み事例の中から他法人や自治体が、地域との連携(地域づくり)にかかわる第一歩を踏み出しやすくするための考えや取り組み事例の把握・整理を行った。また、保育所等の運営法人が実態として、さらなる多機能化、緩やかな法人間連携に関して、どのような取り組みを実施しているかの実態を把握することも行った。併せて、取り組みの経緯や、実現にあたり必要な主体や資源等から、全国の各地域においてこども・子育て機能を充実させるためのポイントを抽出し、取り組み強化に向けた示唆を整理した。 本取り組みにより、保育所等のさらなる多機能化の事例を取り組み単位で整理し、併せてその多機能化を進めるにあたっての課題についても整理した。また、保育所等が地域との連携を行うことで生じるシナジーをアンケート調査により定量的に示し、その地域との連携の実現には従来の保育所等の機能だけではなく、地域とのつながりを持つことのできる体制があることの必要性を示した。併せて、この体制構築に向けては階層的な構造を意識し、段階的に取り組みを進めていくことの必要性、その初期的な取り組みにおいて地域子育て支援拠点事業や地域おこし協力隊等との連携を、地域の実情を踏まえながら進めていくことが重要であることを整理した。 |