株式会社日本総合研究所リサーチ・コンサルティング部門は、グロース市場時価総額上位100社における役員報酬の支給実態について調査しましたので、結果を公表します。
【調査概要】
□調査目的
・グロース市場時価総額上位100社における報酬水準や報酬構成比率等を調査・分析し、役員報酬制度を検討する際のベンチマークデータの1つとして活用することを目的に実施した。
□対象企業とソース・2024年10月31日現在のグロース市場構成銘柄のうち、時価総額(自己株式調整後)上位100社を分析対象とした。調査は有価証券報告書をソース とし、有価証券報告書記載の4【コーポレート・ガバナンスの状況等】(2)【役員の状況】、(4)【役員の報酬等】から役員人数、報酬項目および額を抽出して整理した。有価証券報告書は2023年4月~2024年3月決算のものを用いた。なお2024年10月31日時点で上記決算期間の有価証券報告書未提出の企業、2024年4月以降上場した企業、決算期変更により決算期間が12カ月以外の企業を除いた時価総額(自己株式調整後)上位100社とした。
・経年変化を捉えるために2018年度実績を遡って調査した。2018年度は東証マザーズ、JQG(ジャスダックグロース)市場のうち、時価総額(自己株式調整後)上位100社を分析対象とした。ソースとする有価証券報告書は2018年4月~2019年3月決算のものを用いた。
■報酬水準
・グロース市場時価総額上位100社(以下、グロース市場)における社内取締役(執行役含む、監査等委員を除く)の年間1人当たり平均総報酬 は平均値で30.3百万円、基本報酬24.5百万円、賞与:1.4百万円、株式報酬:4.2百万円、退職慰労金:0.2百万円であった。
■各報酬採用率(※1)
・社内取締役の各報酬採用率は基本報酬:100.0%(100社/100社)、賞与:21.0%(21社/100社)、株式報酬:39.0%(39社/100社)であった。2018年度グロース市場の採用率が基本報酬:100.0%(100社/100社)、賞与:12.0%(12社/100社)、株式報酬:14.0%(14社/100社)であったことから、5年間で賞与の導入がプラス9ポイント(9社増)、株式報酬の導入がプラス25ポイント(25社増)となった。
■株式報酬制度
・株式報酬制度は多い順に、RS(リストリクテッド・ストック):57.1%、SO(ストック・オプション):27.0%、PS(パフォーマンス・シェア)とPSU(パフォーマンス・シェア・ユニット)がいずれも6.3%、信託型:3.2%であった。2018年度グロース市場では、SO:70.8%、RS:25.0%、PSU:4.2%、PSと信託型はいずれも0%であったことから、5年間でSOが大幅に減少(マイナス43.8ポイント)し、RS(プラス32.1ポイント)などのビークルに移行していることがうかがえる。
■ペイレシオと労働分配率
・社内取締役のペイレシオ(1人当たりの役員報酬÷社員平均年間給与)の中央値は3.9倍であった。参考までにTOPIX500は8.9倍である。
・労働分配率(当期純利益に対する役員報酬総額の割合)の中央値は8.3%であった。参考までにTOPIX500は1.2%である。
※詳細につきましては、下記の報告書をご参照ください。
【報告書】

(※1) 本稿では支給実績を判定基準とした。
※記事は執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。