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TOPIX500社における役員報酬の支給実態調査(2024年度版)

2024年12月03日 綾高徳


株式会社日本総合研究所リサーチ・コンサルティング部門は、TOPIX500社における役員報酬の支給実態について調査しましたので、この結果を公表します。


【調査概要】
□調査目的

・TOPIX500社における報酬水準や報酬構成比率等を調査・分析し、役員報酬制度を検討する際のベンチマークデータの1つとして活用することを目的に実施した。

□対象企業とソース
・2024年3月31日現在のTOPIX500構成銘柄492社を分析対象とした。調査は有価証券報告書をソース(※1)とし、有価証券報告書記載の4【コーポレート・ガバナンスの状況等】(2)【役員の状況】、(4)【役員の報酬等】から役員人数、報酬項目および額を抽出して整理した。
・有価証券報告書は2023年4月~2024年3月決算のものを用いた(2024年7月1日時点)。

要 旨

■報酬水準
・TOPIX500社における社内取締役(執行役含む、監査等委員を除く)の年間1人当たり平均総報酬(※2)は中央値で70.6百万円、基本報酬41.3百万円、賞与19.3百万円、株式報酬12.0百万円であった。社内監査役(社内取締役(監査等委員)含む)の年間1人当たりの平均総報酬は中央値で25.5百万円であった。社外役員(※3)の年間1人当たりの平均総報酬は中央値で12.3百万円であった。
・各社の当期純利益に対する役員報酬総額の割合(※4)は中央値で1.2%であった。

■報酬構成比率(報酬総額に占める各報酬額水準の割合_※平均ベース)(※5)
・社内取締役の報酬構成比率は、企業規模(売上高)が大きいほど業績連動報酬比率が高くなる傾向がある。TOPIX500社において3兆円以上の企業では固定報酬(基本報酬):業績連動報酬(賞与+株式報酬)の構成比率はおよそ45:55、TOPIX500社の平均ではおよそ60:40であった。2020年度調査ではTOPIX500社の平均がおよそ70:30であったことから、TOPIX500社の業績連動報酬比率(実績)が高まっていることが伺える。

■業績連動報酬算定に用いるKPI(財務)
・社内取締役の賞与算定に用いるKPI(財務)は採用数(※6)の多い順に①営業利益、②当期純利益、③売上高(売上収益)。株式報酬(業績連動型)に用いるKPI(財務)は採用数の多い順に①TSR(株価成長率含む)、②ROE、③営業利益であった。
・上記とは別に、KPIとして個人評価を用いている会社もあった。
・上記とは別に、KPIとしてESGも多くの会社で用いられていることが伺えた。ただし具体的な評価基準および基準の活用の仕方が分からない会社も少なからずあり、本レポートでカウントすることは控えた。

■ペイレシオ(1人当たりの役員報酬÷社員平均給与)
・社内取締役のペイレシオの中央値は8.9倍であった。企業規模が大きくなるにつれてペイレシオが高まる傾向がある。
                                                

※詳細につきましては、下記の報告書をご参照ください。
【報告書】

(※1) 役員報酬サーベイの方法論は、主として本調査で採用した有価証券記載事項から抽出する方法と、アンケートによる方法がある。それぞれの方法にメリット・デメリットがあり目的に応じて方法論を選択、または組み合わせて使用することが重要である。
(※2) 有価証券報告書記載の4【コーポレート・ガバナンスの状況等】(4)【役員の報酬等】➁「役員区分ごとの報酬等の総額、報酬等の種類別の総額及び対象となる役員の員数」表に記載の報酬額を、(2)【役員の状況】①役員一覧に記載の役員数をカウントして除算した。
(※3) 本稿において社外役員は、社外取締役(監査等委員を含む)と社外監査役を指す。
(※4) 割合=役員報酬総額/(当期純利益+役員報酬総額)にて計算した。
(※5) 報酬構成比率(実績)は、各企業の報酬構成比率の平均を報酬構成比率とした。報酬構成比(基準)も同様である。
(※6) 延べ数。
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