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適切なケアマネジメント手法の普及推進に向けた調査研究事業

2021年04月16日 齊木大辻本まりえ山崎香織


*本事業は、令和2年度老人保健事業推進費等補助金 老人保健健康増進等事業として実施したものです。

1.事業の目的
 令和2年度までに包括的な見直しを行われて一定の完成となる「適切なケアマネジメント手法」について、広くケアマネジャー及び関連する他の専門職に普及推進していくための方策(研修プログラム及び普及に活用するツール、それらの手段でターゲットとすべき層と訴求するポイントなど)を明らかにすることを目的として実施した。

2.事業の主な内容
(1) ワーキンググループでの検討
 令和2年度に包括的な再整理が行われる「適切なケアマネジメント手法(令和2年度改訂版)」の内容を踏まえ、ケアマネジメント実践での具体的な活用方法とともに、介護支援専門員養成研修(法定研修)以外での普及推進の方策を検討するため、学識経験者及び実践者からなるワーキンググループを設置し、検討を行った。
 なお、別途実施した「適切なケアマネジメント手法の策定に関する調査研究事業」と緊密に連携するため、当該事業と同じ構成員とするとともに、同事業において開催したワーキンググループにおいて、普及推進についても併せて検討した。

(2)適切なケアマネジメント手法を分かりやすく普及するツールの作成
 「適切なケアマネジメント手法(令和2年度改訂版)」の見直し経緯も踏まえ、初めて本手法を学ぶケアマネジャー及び関連する他の専門職を受け手とする普及ツールを作成した。具体的には短時間に概要を理解できる動画を作成するとともに、ケアマネジャーが繰り返し閲覧して理解を深めるために使うことができる手引き(冊子)を作成した。
 作成に当たってはワーキンググループでの議論を踏まえ、読み手の認識や想定課題を捉え、メッセージが過不足なく伝わるような内容となるように見直しを重ねた。また、動画については後述するケアマネジャー向けインターネットアンケート調査でも活用して、回答したケアマネジャーの反応の収集も行った。

(3)ケアマネジャー向けアンケート調査
 介護支援専門員養成研修(法定研修)以外の方法による普及推進方策を具体化するとともに、普及ツールとして作成した動画の反応を検証するため、現任のケアマネジャー1,000人を対象としたインターネットアンケート調査を実施した。

(4)実践的な活用方法を習得するための研修プログラムの検討
 ワーキンググループでの検討の結果、本手法を実践的に活用できるように習得するためには、一回限りの研修では不足であり、個別事例に当てはめて振り返りと追加での情報収集・分析といったアクションラーニング型の研修プログラムの必要性が指摘された。
 こうした検討経緯を踏まえ本年度事業において連続研修プログラムを試行・検証を計画していたが、新型コロナ感染症対応の観点から集合研修の開催が難しかったため、過去に連続研修を実施したことがある地域の受講者を対象に、研修プログラムの企画者と受講者を対象としたインタビュー調査を実施した。
 さらに、このインタビュー調査結果と前項アンケート調査結果を踏まえ、ワーキンググループでの検討により、今後の普及推進に活用する連続研修プログラムとその展開方策をとりまとめた。

3.主な成果
 本年度の調査研究事業の主な成果は、インタビュー調査およびアンケート調査の結果、それに基づく今後の展開に活用しうる連続研修プログラム企画のとりまとめである。

(1)連続研修プログラムの受講者を対象としたインタビュー調査結果
 過去に「適切なケアマネジメント手法」についての連続研修を企画・実施した地域における、研修の効果等を把握するため、受講者へのインタビュー調査を実施した。その結果は以下の通りである。
 ・詳細に情報を把握・分析することにより、ご本人の状況をより具体的に捉えることができ、ケアの目標を本人だけでなく家族にも分かりやすく設定できる
 ・数字も用いて共有することで、他の職種やサービス事業所との間で利用者一人ひとりに合わせた具体的な目標や支援内容をすり合わせることができ、結果的に、家族介護者を含めたチーム形成に寄与する
 ・研修で取り上げた個別事例での効果についてみると、短期目標の具体化、本人や家族、ケアチームの意識の変化、家庭での健康管理等を実践したことによる脱水の予防(健康状態の悪化の予防)といったものがみられた

(2)ケアマネジャー向けアンケート調査の主な結果
 「適切なケアマネジメント手法」の概要の動画を視聴してもらったうえで本手法の活用意向についてケアマネジャーに聞いたアンケート調査の主な結果は以下の通り。
 ・動画を視聴したうえで適切なケアマネジメント手法を活用したいと回答したケアマネジャーが77.6%
 ・活用意向とケアマネジャーの属性の関係性についてみると、主任介護支援専門員、経験年数が11年以上、月5回以上自己学習したり職域ネットワークに参加したりしている者において活用意向が大きい傾向がみられた
 ・活用意向が大きいケアマネジャーが直面している実務的な課題についてみると、アセスメントやモニタリングにおける情報収集、他の職種にポイントを絞った情報伝達、本人の意思決定支援に係る専門職等との連携といった事項を上げる割合が大きい傾向がみられた

 なお、前述する連続研修プログラム受講者インタビューでは、本手法をケアマネジメント実践に活用することで、多職種連携の円滑化や家族介護者を含めたケアチームにおける具体的な目標設定、基本ケアの徹底による要介護高齢者本人の健康状態のへ変化といった効果が見られた。
 こうした結果も踏まえると、ケアマネジメントの実践に係る知見がある程度蓄積され、自分の知見や実践の方法を客観視する意向・関心があるケアマネジャーや、そうしたケアマネジャーに対する指導・助言をする立場にある主任ケアマネジャー等を対象に、本手法の普及推進を展開することが妥当であると結論づけられた。

(3)実践的な活用方法を習得するための研修プログラムの検討
 以上の調査及び検討の結果を踏まえ、今後の普及推進方策をとりまとめた。
 具体的には普及ツールを活用した広くケアマネジャーや関連する他の専門職向けの周知と併せて、任意研修として連続研修プログラムを以下に示す二段階で展開する。


 第一段階では地域での自律的な展開を見据え、法定研修におけるサブ講師層(サブ講師あるいはファシリテーターとして活躍している層)を対象に、本手法の内容を、初めて知るケアマネジャーにも説明でき、かつ実践での活用における指導・助言ができるよう育成する。
 なお、既存のファシリテーターに加えて、主任介護支援専門員となって日が浅いタイミングの者にも受講を促し、今後のサブ講師・ファシリテーターの候補とし、サブ講師層の厚みを大きくする方策と併せて実施することで普及推進の効果を高める。

 連続研修プログラムは、以下の設計を基本とする。自らの事例を取り上げて情報収集や事例の見直しも併せて実施するアクションラーニング形式とし、連続研修の中間2回はグループスーパービジョンの方式を採る。事例適用の期間次第だが、第1回から第4回までで4~6か月程度の想定とする。


4.今後の展開
 本調査研究事業で検討した結果を踏まえ、令和3年度以降に「適切なケアマネジメント手法」の連続研修プログラムを展開していく予定である。まずは第一段階として将来の指導者層(サブ講師を担いうる層)を対象として実施し、本プログラムの効果や「適切なケアマネジメント手法」を個別事例に活用したことによる効果を、継続的に把握していく必要がある。

※詳細につきましては、下記の報告書本文をご参照ください。
適切なケアマネジメント手法の普及推進に向けた調査研究事業 報告書(PDF:8,053KB)

別冊資料 適切なケアマネジメント手法の手引き(PDF:1,922KB)

【参考】
「適切なケアマネジメント手法」の概要や策定に向けた検討経緯等については下記調査研究事業の成果をご参照ください。
令和2年度 「適切なケアマネジメント手法の策定に向けた調査研究事業」


本件に関するお問い合わせ
創発戦略センター シニアスペシャリスト  齊木 大
TEL: 080-1145-7438   E-mail: saiki.dai@jri.co.jp
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