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IoTによる日本の次世代は、農業が牽引

2016年10月25日 井熊均


 最近有識者としての評価が高まっている三輪君、システムエンジニアリングのプロフェッショナルの木通君と共著で「IoTが拓く次世代農業 アグリカルチャー4.0」という本を刊行しました。毎年、2、3冊の本を出していますが、この本はかなりの力作です。詳細は、是非ともお読みいただくとして、この本には重要なポイントが二つあります。

 一つは、IoTが農業の現場で働く人を豊かにするということです。成長戦略や規制改革で注目されている農業ですが、現場で働く人達の所得はなかなか上がらないのが実態です。IoTで農業の現場と匠の知恵、天候、市場など様々な情報が結びつくと、圃場が分断された日本でも、農家の所得が他産業を凌駕することが夢ではなくなります。「AIが発達すると人間の仕事はどうなるんだ」、という懸念がありますが、農業では、IoTと現場が結びつくと人間はもっと豊かになれるのです。

 もう一つは、農業が“日本がIoTで先進する切り口になる”ということです。AIやIoTが普及すると日本の製造業がIT企業の傘下になってしまうという懸念があります。その懸念が100%ないとは言いませんが、見方を変えると、モノづくりに強い日本こそIoTの時代に飛躍できる、という指摘も可能です。AI時代の知恵の源泉は現場にあるからです。次世代をリードするのは現場との接点を上手く作り込める企業であり人材です。問題は、交通にしてもエネルギーにしても制約や逆風が多いことです。こうした分野と比べると農業は圧倒的に追い風が多いのです。

 これまでも農業を革新してきたのは、土木、農薬、機械化等、その時代の先端技術でした。IoTによって、農業の現場の隅々まで革新されるだけでなく、農業が革新技術の実装を牽引する、という時代が来るかもしれません。


※メッセージは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。


■最新の書籍
『IoTが拓く次世代農業 アグリカルチャー4.0の時代』
三輪 泰史/井熊 均/木通 秀樹(共著)/日刊工業新聞社/2016年10月27日発行

農業の成長産業化が掲げられる中、儲かる農業を実現する新たな技術として、農業IoTが注目されています。
本書では農業IoTの仕組みやスマート農業政策を解説するとともに、日本農業の典型例である小規模分散圃場にも
対応した自律型農業ロボットのシステムを提唱しています。
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