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総合通信キャリアA社の事業評価



▼▼▼ 総合通信キャリアA社の事業評価① ▼▼▼

電気通信業界では、ブロードバンド常時接続型インターネットニーズの高まりや携帯電話によるデータ通信の発展など、非常に大きなビジネス環境面での変化に直面している。

一方、IP(インターネット・プロトコル)技術などを用いた新興事業者の相次ぐ参入(ADSL事業者やIP電話事業者など含む)や、2001年5月にスタートしたマイライン(電話会社事前登録制)を契機に割引サービスが拡大し、事業者の競争の激化を促している。

そうしたなか、電気通信事業者(通信キャリア)は、株主価値を一層高めるために事業分野の集中と選択が喫緊の課題となっている。

上述の技術革新や競争状況のなか、相対的に固定電話事業では、従来の音声電話や法人顧客向けデータ通信事業の価値を再評価した上で、新規投資を手控えることを考慮のうえ、マーケット動向を踏まえ、法人部門における固定通信事業およびソリューション事業やデータセンタ-事業などの領域を特化するなどの動きが出てきている。



通信キャリア全般の固定通信事業についての分析・評価をどのように行ったらよいか。

フェーズA :現行の固定通信サービスおよび保有ネットワークの分析・評価

フェーズB :今後の事業計画についての検証



プロジェクトにおける分析・評価の内容と進め方

プロジェクトを2つに区分し、次のような流れで進める。




【図表】 2つのフェーズで構成されたプロジェクトのタスクの流れ

(出所) 日本総合研究所 ICT経営戦略クラスター作成[2002年11月]

▼▼▼ 総合通信キャリアA社の事業評価② ▼▼▼

ネットワーク基盤の分析・評価手法について

ネットワーク基盤の分析・評価スコープ


本格的なブロードバンド時代に事業を、競合他社に比し有利に展開するには、3つのレイヤーをスコープに入れ、ユーザー1人当りの平均収入(ARPU)を確保できる仕掛けとそのための課題を解決しておくことが不可欠となる。

【図表】 ネットワーク基盤の分析・評価スコープのイメージ

(注) 「NW」:ネットワーク、「PF」:プラットフォーム、「AP」:アプリケーション、「IP」:インターネット・プロトコル、「ATM」:非同期伝送モ―ド、「STM」:同期伝送モ―ド、「ASP」:アプリケーション・サービス・プロバイダー、「CSP」:コンテンツ・サービス・プロバイダーのこと。
(出所) 日本総合研究所 ICT経営戦略クラスター作成[2002年11月]

▼▼▼ 総合通信キャリアA社の事業評価③ ▼▼▼

ネットワーク基盤の分析・評価手法について(続き)

ネットワークに関するキーテクノロジーはどのようにポジショニングされるか?


現行のネットワークおよび今後のネットワーク基盤には、それぞれキーテクノロジーが存在する。これらのポジショニングや評価を行うことも重要な作業の一部となる場合がある。

【図表】 キーテクノロジー等のポジショニング

(注) 「ION」:Intelligent Optical Networking、「OOO」:all-optical(全光)、「OEO」:Optical Electronic Optical (光-電子-光)、「FTTH」:Fiber To The Home、「DSL」:Digital Subscriber Line、「EFM」:Ethernet in the First Mile、QoS:Quality of Service、「DiffServ」:Differential Service、「MPLS」:Multi-Protocol Label Switching、「PBX」:Private Branch eXchange、「VOD」:Video On Demand、「SAN」:Storage Area Networkのこと。
(出所) 日本総合研究所 ICT経営戦略クラスター作成[2002年11月]

▼▼▼ 総合通信キャリアA社の事業評価④ ▼▼▼

タスク【A1】→現行の固定通信事業の分析・評価イメージ

固定通信の事業価値の算出はどのように行うか?


フェーズBにてA社の事業計画に関する情報提供を前提として、固定通信事業の現在価値(PV)を算出する。

【図表】固定通信事業の現在価値(PV)の算出イメージ

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(出所) 日本総合研究所 ICT経営戦略クラスター作成[2002年11月]

▼▼▼ 総合通信キャリアA社の事業評価⑤ ▼▼▼

タスク【B1】→将来の固定通信ネットワーク基盤の分析・評価のイメージ

将来の固定通信の事業価値の算出はどのように行うか?


現行または将来のネットワーク基盤に、リアルオプション(RO)が適用できるどうか、すなわち経営または事業の柔軟性を発揮するための要素(戦略的なカード)の有無やそのレベルの検証を行う。


RO価値を算出する際に必要なボラタリティを求める。


ボラタリティについては、シナリオを通じた、当該事業のシナリオを策定した上で、そのシナリオの生起確率(主観確率)を求める。


その上でRO価値を評価する。

【図表】将来の固定通信ネットワーク基盤の分析・評価のイメージ

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(出所) 日本総合研究所 ICT経営戦略クラスター作成[2002年11月]