コンサルティングサービス
経営コラム
経済・政策レポート
会社情報

コンサルティングサービス

光FP創設に関するシナリオアプローチ



▼▼▼ 光FP創設に関するシナリオアプローチ① ▼▼▼

光FP(ファシリティプロバイダー)とは?
 
日本全国の光インフラ(FTTHのためのアクセス用光ファイバーからバックボーンの光ファイバーまで)を一手に引き受け運営を行う事業体(運営形態としては、公社化、株式会社化、PFI方式などが考えられる)。

光FP創設の目的


日本全国の家庭や中小企業へのFTTHインフラ提供を早期に実現


日本全国への高い経済波及効果


ITインフラ早期整備による日本の国際競争力の強化


【図表】 光FPの管理レイヤーイメージ

(出所) 日本総合研究所 ICT経営戦略クラスター作成[2003年10月]


▼▼▼ 光FP創設に関するシナリオアプローチ② ▼▼▼

上記のような光FPを創設するためには、その運営趣旨・形態や資金調達問題、政府保証問題、雇用者問題、経済効果などを整理した上で、利害関係者のコンセンサスをとる必要がある。

光FP創設に関しては、光FPを含む通信事業者やプロバイダーなどの事業者の動向が各利害関係者それぞれの意思決定の組合せにより複数のシナリオが形成される。

光FP創設そのものに関する是非』:運営趣旨・形態から、資金調達問題、政府保証問題、雇用者問題、経済効果などの整理が必要。

既存通信事業者の光インフラ開放(売却)』:将来的には光FP自らが光インフラを構築していくが、早期立上げのためにも既存インフラの提供は必要。

既存FTTH事業者の動向』:光FPそのものに反対なのか、賛成なのか。反対の場合、その後自らでインフラ投資を継続していくのか、止めるのか。

既存の回線貸し事業者の参入』:主にADSL、CATV事業者のFTTHへの参入動向(参入する・しない)。


【図表】 光FP創設時におけるシナリオ別の利害関係者の整理

(出所) 日本総合研究所 ICT経営戦略クラスター作成[2003年10月]


▼▼▼ 光FP創設に関するシナリオアプローチ③ ▼▼▼

光FP創設時のベストシナリオが実現した場合、光FPが創設されることによって誘発されるデジタルサービスやコンテンツ市場の急激な拡大も考えられる。


【図表】 光FP創設によるデジタルサービス・コンテンツ市場の拡大イメージ

クリックで拡大図へ

(出所) 日本総合研究所 ICT経営戦略クラスター作成[2003年10月]


▼▼▼ 光FP創設に関するシナリオアプローチ④ ▼▼▼

光FPの自然独占性は、「規模の経済性」および「範囲の経済性」に起因する経済効率の観点から正当化されよう(ただし経済的な規制はある程度必要)。また、光FP創設により、①早期にFTTH網(ITインフラ)整備が可能となり、②日本の対外的な経済競争力の強化につながると考えられる。

光FPの成立領域が市場全体に及ぶと考えられるため、競争よりも経済的規制を伴う独占的供給の方が、効率的生産の観点から正当化されよう。


国内の経済効率の観点から、光FP創設により「規模の経済性」および「範囲の経済性」の2つの効果に起因する利益が期待できる。

篠崎[2003]などの研究からも、光FP創設により早期にFTTH網(ITインフラ構築)が実現され、これにより日本の対外的な経済的競争力の強化が期待できる。


1990年代の日本の設備投資はほとんど増加しておらず、一方で米国の1992年以降の設備投資は年平均9%とほぼ2桁に近い増加が続いた(3分の2は情報化投資の寄与による)。この設備投資が米国経済の成長の牽引力となったと考えられ、その後の日米の経済的な明暗を形作る原因の一つと考えられる。


インフラ投資によって、直接的に現在の成長の牽引力になると同時に、投資の蓄積が資本ストックとなって供給サイドの生産性に作用する。


【図表】 光FPの「規模の経済性」および「範囲の経済性」に起因する利益

(注) 「◎」:他のITインフラ投資事例(各自治体の情報ハイウェイ投資など)に比べて利益や効果が大きいと推測される場合。「〇」:他のインフラ投資事例と同程度の利益や効果が見込まれる場合。「*1」:光FPの運営形態(資金調達方法)による。「*2」:各企業でのマネジメントによる。「BBNW」:バックボーンネットワーク、「ACC」:アクセスレイヤーネットワークのこと。
(出所) 日本総合研究所 ICT経営戦略クラスター作成[2003年10月]