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NTTのライバルはマイクロソフトか?変わる通信の概念


▼▼▼ NTTのライバルはマイクロソフトか?変わる通信の概念① ▼▼▼

「NTTの最大のライバルはマイクロソフト」(2002年6月、NTT持株会社の和田社長)発言に見られるように、マイクロソフトは通信分野への布石を着々と打っている。

旧来の回線交換方式による音声通信ビジネスは、交換機というゲートウェイ(関門所)にトラフィックが集まり、そこで対価を取る(課金する)モデルである。携帯電話市場の急拡大もあって、この方式による固定電話市場は1997年を境に減少の一途をたどっている。

1999年12月に登場したiモードにより、消費者のインターネットへの接続が当たり前となった。ここに通話の世界から、消費者の「データ通信」といいう領域が通信の新しい主戦場になる様相を呈してきた。

インターネットの世界では、新たなゲートウェイがビジネスの鍵を握る。ヤフーのようなポータル(玄関)を握る企業に加え、パソコンのOS(基本ソフト)を握るマイクロソフトが、にわかに脚光を浴びている由縁である。WindowsXPのようなインターネットのネット接続を前提としたOS(一種のゲートウェイ)が威力を発揮する。

マイクロソフトのIM(インスタント・メッセージ)及び「.NET戦略」を通じ、個人向けビデオ通信や常時情報シェアリングなどのような、ブロードバンドコミュニケーションという新しい通信サービス需要が喚起されるつつある。

【図表】 音声通信市場に替わる巨大なブロードバンド市場

(注) 囲みの大きさは、市場規模をイメージ。
「F2F」とはFew to Few(少数どうし)、「P2P」とはPeer to Peer(仲間どうし)のコミュニケーション。
(出所)日本総合研究所 ICT経営戦略クラスター[新保2001]


▼▼▼ NTTのライバルはマイクロソフトか?変わる通信の概念② ▼▼▼

パソコンOSを起点に戦略を打つマイクロソフトに加え、業界最安値のADSLやIP電話などを矢継ぎ早に投入するヤフーグループ、無線LANサービスに特化するMIS(モバイル・インターネット・サービス)などの、新しいタイプの通信サービス企業の挑戦が続く。NTTやKDDIなどの旧来キャリアは、苦しい戦いを余儀なくされている。

今後の通信市場は、「競合期」→「混乱期」→「復調・再成長期」→「再成長期」のシナリオ(手順)を辿ることが予想される。

そして、「混乱期」の新旧グループ企業の競争戦略とそのアクション次第で、どちらが「勝ちパターン」を手にするかは予断を許さない。

何れにせよ「復調期」には、新しいタイプのキャリア(この時点で、キャリアの呼称は不適当かも知れない)が出現するか、または現企業の変貌があることであろう。


【図表】 ブロードバンドの普及と通信キャリアの電話事業の今後の推移

(注) 政府「e-Japan計画」における「2005年で3,000万世帯」というブロードバンド普及世帯において、それを約6,000万加入数と置き換えている。
日本の全世帯は約4,600万世帯。特に固定電話収入については、インターネット電話及びIP電話のみの影響により、最大で現行の1/5程度に減少しよう。
横軸(時間軸)については、上段と下段では競争の進展状況などで大きくずれる可能性もある。
(出所)日本総合研究所 ICT経営戦略クラスター[新保2001]