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車載無線LANはメディアビジネスとなるか?


▼▼▼ 車載無線LANはメディアビジネスとなるか? ▼▼▼

PC接続ツールとして無線LANは日進月歩の成長を続けている。

家庭内接続、PC同士のアドホック接続にとどまらず、駅や施設内の公衆無線LAN設置も急速に進み、さらにIP携帯電話(無線LANとPHSの併用を想定)が用途とエリアの拡大をめざしている。

高速移動中の接続もいずれ解決されることになるであろうことから、「乗り物ブロードバンド」のトップランナーとして、主に乗用車(日本に5000万台存在)を対象とした「車載無線LAN」が情報メディアとしてのパワーを持ちうるのではないかと期待されるところである。

ただし、あくまでPC接続用として開発された技術であることから、自動車を少々駐めて利用する「路車間通信」環境自体がゼロベースから、しかも新規の動機として関係者に取り組まれなければならない性質の市場である。

【図表】 無線LAN一般をめぐる市場展望

(出所) 日本総合研究所 ICT経営戦略クラスター作成[2004年5月]


▼▼▼ 車載無線LANはメディアビジネスとなるか?② ▼▼▼

車載無線LANを情報メディアとしてビジネスの俎上に乗せるためには、自動車メーカーまたは無線LAN機器ベンダーからのシナリオとして、ロケーションプロバイダー (路側アンテナ設置対象者)に対して①:アプリケーションの魅力、②:確実な市場規模(台数)を訴求し、「今すぐ儲かるかどうか」のロジックをわからせる必要がある。
メディアパワーを得るにあたっての最大の問題は、現行カーテレマティクス会員の伸びから試算できる車載側ユーザー数が今後10年程度で数百万台規模まで伸びる可能性が高いのに対し、ロケーションプロバイダー側での利用箇所の伸びが1万ヶ所単位でしか伸びない(駐車場等を想定すれば一ヶ所あたりの自動車の容量は平均10台を超えることないだろう)と考えられる点にある。

この点、これまでのブロードバンド・ユビキタスの市場形成の流れとは異なる「狭域通信メディアビジネス」の特殊な点であることに着目したい。


【図表】 車載無線LAN導入の検討アプローチ

(出所) (出所)日本総合研究所 ICT経営戦略クラスター作成[[2004年5月]


▼▼▼ 車載無線LANはメディアビジネスとなるか?③ ▼▼▼

以上を踏まえて、無線LANならではの車載情報メディアのサービスメニューを考えることができる。
狭域・高速・通信という特性からは、やはり有償の価値をもったダウンロードが適する。本来的に車載情報提供すなわちカーテレマティクスサービスは「ユビキタス」であることが求められており、昨今のトヨタ車に見られる「車載標準」「純正カーナビ標準」の第三世代携帯電話モジュール搭載がマスユーズと考えるのが妥当であろう。
無線LANは車載機器及び路側アンテナが他の電波メディアより安価であるがゆえに情報メディアとしてのパワーを(路側アンテナの整備普及を待って)長期的に期待することができるとともに、むしろ自動車メーカーは安全運転支援(すなわち「ぶつからない」)性能の技術開発にも視野を広げてもおり、これはとくに欧米で注目されている。


【図表】 車載無線LANサービスのアプリケーション別有望性検討

(出所) 日本総合研究所 ICT経営戦略クラスター作成[2004年5月]