コンサルティングサービス
経営コラム
経済・政策レポート
会社情報

コンサルティングサービス

医薬品業界におけるCRM(B2B2E=CRB)の取組みの例


▼▼▼ 医薬品業界におけるCRM(B2B2E=CRB)の取組みの例① ▼▼▼

わが国の医薬業界におけるCRMとは、薬品メーカーと医薬品卸とのB2Bの関係構築が鍵を握っている。さらに、この関係は、薬品メーカーの特約店担当者と医薬品卸のMS(医薬品卸業の担当者)という従業員(E:Employees)との連携の緊密さがモノを言う。

この連携の効率化・高度化を図るには、B2B2E型のCRM(即ち、CRB)サイトを構築しておくことが有効である。

また、20万を超える医療機関とMSとの取引作業の負担を軽減するために、スコアリングやeファクタリングなどの仕組みを持つ「仲介業者」の存在も重要になってきた。

一方、通常、薬品メーカーのMR(Medical Representative:医薬情報担当)は、医療機関の医者・他への医薬情報を提供している。

【図表】 医薬業界におけるCRMならずCRB(またはB2B2E)とは?

(注) 実線はリアル、破線はネット等。MR:Medical Representative(医薬情報担当)、MS(医薬品卸業の担当者)
(出所)日本総合研究所 ICT経営戦略クラスター[新保2000]


▼▼▼ 医薬品業界におけるCRM(B2B2E=CRB)の取組みの例② ▼▼▼

薬品メーカーの特約店担当者は、医薬品卸のMSとの間で、必要な情報を交換可能なプレミアムサイトを通じたコラボレーションを図っていくことで、時間短縮や商談成立の確度を上げることができよう。この際の特約店担当者は、同サイトの「デジタル編集人」の立場でもある。

やがて、このプレミアムサイトが、医療機関向けサイトのデータベース(DB)と限定的とはいえリンクされることで、医薬品卸MSはこのDBを編集でき、また同卸の経営幹部がプレミアムサイトを閲覧することで、医薬品メーカー-医薬品卸-医療機関のトライアングルの関係の一層の緊密化、ひいてはビジネスの強化がはかれる。


【図表】 CRBとプレミアム顧客サイト

(注) 実線はリアル、破線はネット等
(出所)日本総合研究所 ICT経営戦略クラスター[新保2000]

▼▼▼ 医薬品業界におけるCRM(B2B2E=CRB)の取組みの例③ ▼▼▼

大塚製薬では、「otsuka-plus.com」という消費者向けのサイトが用意されている。

大塚製薬と医薬品卸との間でも、ITを用いた仕組みがあることが推察される。


【図表】 大塚製薬のビジネスモデル

(注) 実線はリアル、破線はネット等
(出所)日本総合研究所 ICT経営戦略クラスター[新保2000]

▼▼▼ 医薬品業界におけるCRM(B2B2E=CRB)の取組みの例④ ▼▼▼

医薬品卸の最大手であるクラヤ三星堂では、「Medks.com」という買う・調べる・読むの分野で、有益な情報が入手できるサイトに加え、「仮想倉庫」という医療機関の医薬品在庫をゼロにするデル型モデルをヒントにした仕組みができている。

この仕組みを通じ、同社のMSは医療機関に対して、分割販売や診療材料・備品の販売において価格交渉などを有利に行うことができるようだ。


【図表】 クラヤ三星堂のビジネスモデル

(注) 実線はリアル、破線はネット等
(出所)日本総合研究所 ICT経営戦略クラスター[新保2000]

▼▼▼ 医薬品業界におけるCRM(B2B2E=CRB)の取組みの例⑤ ▼▼▼

米国の医薬品業界では、日本の「医薬品卸」に相当するところはなく、また、医薬分業となっている。
従って、米PLanetRX社ではオンライン薬局を設け、消費者からの診察を行った医者からの指示で届く処方箋情報と、同センターへの調合等の依頼情報に基づき、同社の薬局・商品管理センターにて調合を行う。

消費者(患者)は薬局への処方箋持参が不要となっており、日本に比べ効率的な仕組みが実現できているようだ。


【図表】 米PLanetRXcomのビジネスモデル

(注) 実線はリアル、破線はネット等
(出所)日本総合研究所 ICT経営戦略クラスター[新保2000]

▼▼▼ 医薬品業界におけるCRM(B2B2E=CRB)の取組みの例⑥ ▼▼▼

米drugstore.comは、オンライン薬局機能を実現しており、消費者(患者)からの注文を受けた後、消費者の診察を行った医者からの連絡に基づき、製薬部門への調合等依頼を行う。調合された薬は、薬局へ配送され、消費者は同薬局にてその薬を受け取ることができる。

オンライン薬局は、薬の配送状況の確認や薬の購入日などの情報のリマインダー機能などをサービスとして提供している。

一方、メルタ・メディコやPCSヘルスシステムズのような給付サービス仲介業者が米国にはあり、消費者が薬代に保険を使用する場合には、薬局からの薬代の請求情報に基づき保険会社との決済代行を行っている。


【図表】 米drugstore.comのビジネスモデル

(注) 実線はリアル、破線はネット等
(出所)日本総合研究所 ICT経営戦略クラスター[新保2000]