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■2012/10/24 活況を呈すアグリゲータービジネスの将来(報告:佐々木努


 原発の再稼働の先行きが見通せず、また電力各社が料金値上げの動きを見せる中、企業や家庭は負担増を回避するための確実な自衛策として省エネに対して高い関心を寄せている。省エネや節電サービス市場へ新規参入する企業が続いているのはそのためだ。例えば、オリックスは「中小企業向けにBEMSを初期費用ゼロで導入するサービス」(日本経済新聞電子版、2012/10/19)を開始し、日本IBMとイオンも共同でビル向けの節電支援サービスを始める。また、高砂熱学工業も「熱源機器の設置工事と維持・運用を一括で請け負うサービス事業に参入」(日経産業新聞、2012/10/11)するという。
参入が相次いでいるのは、少ない初期費用で1割以上の節電・省エネの実現が見込めるなど、サービスの実例が積み上がり需要家メリットが明らかになってきたからに他ならない。電力システム改革委員会が取りまとめた基本方針にも、複数の事業所の節電分(ネガワット)を束ねる“アグリゲータービジネス”の推進を明記しており、需要家のニーズとともに政府の後押しも受けて、同ビジネスは今後も伸びていくことが期待されている。
一方で、一過性の盛り上がりで終わってしまう可能性も否定できない。というのも、現在の市場は、電力逼迫という特殊な環境下に端を発して生じているものであり、今後の状況によっては需要家側の節電・省エネへの関心が縮小してしまうこともあり得るからだ。電力会社からしてみても、厳しさを増す財務状況下で電源設備への投資抑制効果を評価しつつも、一義的には販売機会の縮小につながる仕組みを続ける(=アグリゲータービジネスの原資を提供し続ける)のは難しい。つまり、ネガワットを買い取る先として電力会社を位置付けるだけでは、業界全体の持続的な発展は見込めない。電力会社対アグリゲーターという対立構造のビジネスを追及するのではない形を模索する必要があるだろう。
その鍵を握るのもやはり電力会社になる。今後の改革により(需要家が求めるだけの量を供給するという)供給責任の重荷が外れ、ネガワットと親和的なあり方を発想ができる電力会社が誕生すれば、アグリゲーター市場全体を盛り上げる担い手になれるだろう。そうした出口を描かない限り、すべての事業者にとって価値のあるアグリゲータービジネスを確立することはできないのではないか。
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