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■2012/10/10 “スマートな建築物”の普及に必要な視点(報告:佐々木努


 スマートハウスやスマートビルなどの“スマートな建築物”への関心は高まっている。スマートハウスにはハウスメーカーはもちろんのこと、電機メーカーや自動車メーカー、家電量販店などの他業種からの参入が相次いでいるし、省エネ性や災害時のエネルギーの安定供給を訴求するスマートビルの建設も続いている。
 これら“スマートな”建築物が提供する付加価値の大部分はエネルギーの賢い利用方法である。建築物の入居者は光熱費の削減や非常時の供給確保などのメリットを受けているが、高額な負担を勘案すると付加価値の恩恵を十分受けているとは言いがたい。むしろ、入居者の負担のもとに、分散型エネルギーシステムの構築を進めることができる行政のメリットが一番大きいのかもしれない。
 一方、こうした状況を懸念する声が存在する。米ロッキーマウンテン研究所のエイモリー・ロビンス博士は「商業ビルなどの省エネ化の大胆な実施により『エネ効率だけでなく、労働生産性の向上につながる』」(日刊工業新聞、2012/10/10)と発言し、ビルの改修により労働生産性があがれば「電気代に支払う金額の10~20倍の価値がある」(日刊工業新聞、2012/10/10)とも指摘している。村上周三氏も同様のことを指摘している(「スマート&スリム 未来都市構想」、エネルギーフォーラム、2012/9)。つまり、建築物の入居者が直接メリットを享受できる必要性を説いているのである。
 それでも、これらは“管理側の入居者”のメリットであり、そこで“暮らし、働く側の入居者”にとってのメリットとは言いがたい。例えば、「海外の研究機関との人材獲得競争を勝ち抜くためには、魅力的な研究開発施設を用意することが欠かせない」(日経アーキテクチュア、2012/10/10)として実験設備だけでなく研究施設にも投資を厚く配分する新しい試みのように、“暮らし、働く側の入居者”目線の“スマートな建築物”はまだまだ少ない。こうした真に需要家目線の建築物が実現するとき、“スマートな建築物”の市場は自立的に拡大していくのではないか。
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