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■2012/09/28 熱利用には都市計画の視点が必要(報告:佐々木努


 経済産業省は、産業分野の省エネを促進する狙いから、次年度予算要求に次世代型高効率熱利用設備に対する補助金として105億円を計上した。具体的には「工場などで発生する低温排熱を回収して有効活用できる産業用ヒートポンプなど、高価格だが高効率な設備」(電気新聞、2012/9/7)を対象とするという。また、文部科学省も蓄熱・断熱用途の新素材開発のために70億円を予算要求する方針で、「工場排熱を200~300度の中温状態で保温・貯湯できる蓄熱材」(電気新聞、2012/9/27)の開発が狙いとしている。
 こうした省の動きの背景には、熱利用に伴うエネルギー消費量が日本の最終エネルギー消費の約5割を占めるにもかかわらず、熱利用の効率化に関する関心が低いことにある。コジェネ設備の配置による排熱活用などの解決策を模索中ではあるが、工場からの排熱の80%程度を占める250度以下の低温排熱(省エネルギーセンター、“工場群の排熱実態調査(平成12年度)”)は大半が捨てられている。この辺りをいくばくかでも改善できれば、今問題のエネルギー問題の解決も一定程度寄与できると期待されている。
 しかし、熱利用の現実は厳しい。その理由の1つは実現の鍵を握る熱の供給地と需要地が近接する適地が限られていることである。もう1つの理由は、熱融通の担い手の不在にある。特に後者に関しては、エネルギー使用量(販売量)の増大を図ることが至上命題のエネルギー事業者にその役割を期待するのは難しいし、ましてや熱導管などのインフラ整備まで求めると、よほど条件が整ったケースでなければならないだろう。
 こうした状況を勘案すれば、熱に関して行政が果たすべき役割は大きい。電力システム改革と同様に制度や業界そのものを見直すアプローチももちろんのこと、適地を作り出すための整備に注力することも必要だろう。具体的には都市計画の段階から熱を始めとするエネルギーの視点を踏まえて検討するなどのやり方だ。国も“まちづくりと一体となった熱エネルギーの有効利用に関する研究会”を設置して都市の未利用エネルギーの有効活用策を検討しているが、具体化に向けて動き出すことが必要だ。
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