ナビゲーションコラム
■2012/09/17 動き始めたグリーンファイナンス(報告:佐々木努)
ここ数週間の間に国内の再生可能エネルギーへの投融資に関する話題が相次いだ。オリックスとウエストホールディングスなどは総出力50万kW(250カ所)のメガソーラー事業に対して「5年間で約1000億円」(日本経済新聞電子版、2012/8/23)の投資計画を発表し、日本アジア投資も「数百億円規模」(日刊工業新聞、2012/9/13)のメガソーラーファンドの立ち上げを検討しているという。また、日本IBMやNTT西日本など7社が岡山県瀬戸内市にて計画している世界最大級のメガソーラー(25万kW)では「656億~861億円」(日本経済新聞電子版、2012/9/13)以上の総事業費を機関投資家から資金調達する予定という。
現在までに報道等で発表されたメガソーラーの計画容量を積み上げると既に100万kWを超えている。これは、事業費の目安である“MWあたり3億円程度”を用いて金額換算すると3000億円に相当する規模だ。中長期的にはこれよりも1桁や2桁大きい資金需要が再生エネルギービジネスで発生すると見込まれる。
これまで再生可能エネルギーに関する議論は普及のための手法論に終始してきたが、固定価格買取制度が立ち上がり事業計画が進み始めた今、資金調達の議論を本格化させる段階に移行しなければならないだろう。“誰からどのくらいの資金を集めて、それを国としてどのように支援し、その見返りの効果として何を見込むか”という全体ビジョンが必要だ。
例えば、年数%の利回りが見込める事業は国内の機関投資家や個人投資家にとっても魅力的に映るはずで、そうであればサーチャージによる国民負担だけでなく国民への還元策についても描けるはずだ。つまり、再生可能エネルギーに関連するメーカーだけで経済的効果を検討するだけではなく、それに必要な資金需要の活用方策の面からの経済効果を考えることが必要だろう。