政策センシング
■2012年9月第3週(2012/09/17~09/23)の動き(報告:佐々木努)
□エネルギー分野
18日に基本問題委員会が開催された。14日のエネルギー・環境会議で決定された“革新的エネルギー・環境戦略”を巡って、「“30年代”の原子力稼働ゼロを掲げるなど目標があいまいなため、政府にまず方針の明確化」(電気新聞、2012/9/20)を求め、それがなしえるまで「基本計画策定作業を一時中断する方針」(電気新聞、2012/9/20)を示した。戦略策定後に予定していた基本計画の詰めの作業開始の目処はたっておらず、9月中のとりまとめは難しい状況にある。
また同日には経済産業省が「新しい火力電源入札の運用に係る指針」をとりまとめ公表した。同指針は電気料金制度・運用の見直しに係る有識者会議の報告書(2012年3月)に基づき取りまとめられたもので、一般電気事業者による電源調達に競争原理を導入し、卸供給事業者(IPP事業者)などの新規参入者による卸供給の拡大を促すものである。
翌19日には今後のエネルギー・環境政策について、“革新的エネルギー・環境戦略”を踏まえて関係自治体や国際社会等と責任ある議論を行い、国民の理解を得つつ、柔軟性を持って不断の検証と見直しを行いながら遂行する”とした閣議決定がなされた。
また同日は国土交通省と経済産業省、環境省の合同会議である社会資本整備審議会建築分科会建築環境部会省エネルギー判断基準等小委員会(国土交通省)、総合資源エネルギー調査会省エネルギー基準部会住宅・建築物判断基準小委員会(経済産業省)、中央環境審議会地球環境部会低炭素建築物に関する専門委員会(環境省)の第3回会合も開催された。この日は低炭素建築物の認定基準の素案が公表されたほか、1次エネルギー消費量という定量評価が難しい措置について選択的項目として付加的に評価する方針が示された。
さらに、21日には公正取引委員会が“電力市場における競争の在り方について”と題する報告書をとりまとめた。競争政策上の考え方として、一般電気事業者の発電・卸売部門と小売部門の分離や送配電部門の開放性・中立性等の確保の必要性を指摘したほか、複数の小規模な需要家による電気事業者との一括交渉や託送料金の水準に関する一定の規制などの対応も指摘した。
□気候変動分野
18日に「製品のカーボン・ニュートラル制度」施行事業研究会が開催された。カーボンフットプリンとの取り組みを更に進めた製品のカーボン・ニュートラル制度を消費者に一層アピールするための試行であることを確認したほか、エコマークなど他の環境関連のマークと比較する形でラベル認知度向上に向けた課題整理と対策検討がなされた。今後は、12月のエコプロダクツ2012への出展を通して実証を行い、来年2月頃にとりまとめを行う予定とした。