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■2012年6月第3週(2012/06/18~06/24)の動き(報告:佐々木努


□エネルギー分野

 18日に再生可能エネルギーの固定価格買取制度の制度詳細が決定され、関連する省令や告示が公布された。これにより7月1日からの同制度の開始に向けて大枠が確定することとなった。

 翌19日には基本問題委員会が開催され、エネルギーミックスの選択肢の原案を引き続き審議するとともに、資源・燃料の安定供給の課題と今後の対応について議論が行われた。LNG調達における価格競争力確保するために、(1)北米からの天然ガスの輸入促進、(2)日本企業主導のLNGプロジェクトの積み上げ、(3)メジャー・産ガス国との交渉力強化、の3点を提示した。また、燃料インフラが太平洋岸に集中していることも課題に指摘し、日本海側への燃料供給拠点の戦略的配置などの方向性も示された。

 さらに20日に開催された電気料金審査専門委員会では費用の配賦とレートメイクに関する議論がなされ、5月から始まった同委員会で想定していた審査項目について一通り議論を終えた。平行して行われていた消費者委員会による経済産業省と東京電力に対するヒアリング結果を受けて、同委員会は更なる人件費の圧縮や競争入札比率の向上、不透明な購入電力料などの課題を指摘した。電気料金審査専門委員会は引き続き検討を深める予定で、当初東電が想定していた7月1日からの料金引き上げについては「遅れるのは必至の情勢」(日本経済新聞電子版、2012/6/21)となっている。

 また、21日には電力システム改革専門委員会が開かれ、卸電力市場の活性化を図る方向で意見がまとまった。電力の小売自由化を見据え、(1)一般電気事業者に対するスポット市場で売り注文と買い注文を同時に出すことを義務付ける制度(スプレッド規制付き入札制度)や、(2)Jパワーの電源の卸市場への切り出し、などの強制玉出しに関する意見が相次いだ。発送電分離に関しても、電源が不足する状況下での導入を懸念する声も合ったが、機能分離か法的分離のいずれかを導入することなどで委員の意見が一致した。 さらに、翌22日のエネルギー・環境会議では6月16日の四大臣会合で決定した大飯原子力発電所3号機と4号機の再稼動を受けて、各電力管内の節電目標の改定について確認がなされた。これにより、関西電力管内では15%以上の目標が10%以上に引き下げられたほか、中国電力は2%、中部電力・北陸電力は1%の引き下げが行われた。一方で、四国電力と九州電力の目標値は変更なしとした。

 電気料金審査専門委員会も同日に開催され、検討を深めるべき論点として、“(1)人件費”、“(2)福島第一原発の賠償対応費用・安定化費用”、“(3)福島第一・第二原発の減価償却”、“(4)原発からの購入”、“(5)事業報酬率”の5点が示された。今後は、「原価算入に対する意見が委員の間で割れている」(電気新聞、2012/6/25)(2)と(3)の論点に(5)を加えた3つの論点を中心に議論が進められる。また、同委員会でまとめる査定方針案に加え、消費者庁の意見を加味して経済産業大臣が物価問題に関する関係閣僚会議を経て料金値上げの認可を行うプロセスも確認された。

 さらに、同日にはHEMSやBEMSによる家電設備の相互接続やデマンドレスポンスに関するマニュアルを作成するために設置した官民連携組織であるJSCA(スマートコミュニティアライアンス)がスマートハウス・ビル標準・事業促進検討会の初回会合を開き、9月を目処に工程表をとりまとめる予定を確認した。



□気候変動分野

 18日に開催された新クレジット制度の在り方に関する検討会において、国内クレジット制度とオフセット・クレジット(J-VER)制度の統合に向けた新制度の原案が示された。原案では、制度の対象者に関する制限を設定しないことやダブルカウントを防止する措置を講じること、ISOに準拠した算定・報告・検証体制の構築などの方針が明らかにされ、制度の期限は2020年度とした。今後、パブリックコメントを経て、7月に新制度の概要を公表する流れとなった。

 19日には税制全体のグリーン化推進検討会が開催され、前回に引き続き4名の専門家に対するヒアリングが行われた。また、現行税制の環境面からの評価として、国内外の環境関連税制の環境効果をまとめた資料が紹介された。
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