政策センシング
■2012年6月第2週(2012/06/11~06/17)の動き(報告:佐々木努)
□エネルギー分野
12日に電気料金審査専門委員会が開催され、福島第一原子力発電所5・6号機と福島第二原子力発電所に関する費用計上や購入電力料に関する情報開示を中心に議論が行われた。原発の費用計上については、「既存の簿価や改良投資額は減価償却費として原価へ算入することを認めてほしい」(電気新聞、2012/6/14)との東京電力の意見に対して、委員からは賛否両方の意見が示され、結論は出なかった。また、スマートメーターの調達費用についても、計器使用の見直しと完全競争入札の導入による単価低減を実施し、平成24~26年度の平均で16億円程度の削減を見込む計画が明らかにされた。
翌13日には天然ガスシフト基盤整備専門委員会が開催され、委員会としての報告書案のとりまとめに向けた議論が行われた。天然ガスシフトを実現するために、国が全体最適な整備方針(整備基本方針)を策定し、民間事業社による広域パイプライン整備を支援する方針を明記した。さらに、民間事業者間の利害調整を行ったり、整備コスト低減のための措置を講じたり、需要増加の取り組みも合わせて行うことなども盛り込まれた。一方で、天然ガスへの過度な依存への懸念や都市ガスの災害対応力の脆弱性に関する意見も指摘された。
また15日には産業構造審議会新産業構造部会が今後の経済産業政策の方針についてとりまとめた報告書「経済社会ビジョン」を発表し、スマートコミュニティやスマートハウス、蓄電池や再生可能エネルギー市場、次世代自動車などのエネルギー分野での新産業創出に期待が寄せられる様子が描かれている。
□気候変動分野
13日に地球環境部会が2030年に向けた地球温暖化対策の選択肢を了承し、報告書にまとめた。6つの選択肢は6月8日の会合で示された内容から変更はなく、2020年の温室効果ガス排出量の削減率は1990年比で5~15%減となった。前回会合で指摘されたLNG火力発電への傾倒に関しては、「CO2(二酸化炭素)排出削減の観点のみで石炭火力を制限することは、将来のエネルギーミックスを検討する際の選択肢を狭める」(電気新聞、2013/6/14)との意見書が添付されるなど一定の配慮がなされた。