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■2012年5月第5週(2012/05/28~06/03)の動き(報告:佐々木努


□エネルギー分野

 28日に基本問題委員会が開催された。継続審議されてきたエネルギーミックス案について、2030時点の原子力発電比率を0%、15%、20~25%の3つを設定することで合意した。35%の選択肢については委員からの反対が根強く、三村委員長の提案で参考値として扱うこととなった。結果、数値目標を示さない選択肢を含めた4案(+参考値)がエネルギー・環境会議に提出されることが決まった。今後、エネルギーミックスの議論はエネルギー・環境会議の場に移され、「原子力委員会、中央環境審議会(環境相の諮問機関)からも報告を受け、原子力政策、地球温暖化対策と統合した選択肢」(電気新聞、2012/5/29)を決定した上で、6~7月にかけて国民的議論が行われる。国民的議論については「無作為抽出された国民が事前学習を経て小グループに分かれて討論し意見を集約する『討論型世論調査』」(電気新聞、2012/5/29)などの手法も活用して進められる見通しである。

 翌29日には電気料金審査専門委員会が開催され、人件費や修繕費など原価に係る経費の妥当性が点検された。競争入札の拡大などによりコストを減らす余地があるとの声が相次いだ。修繕費についてはコスト削減の要求の声が相次ぎ、「スマートメーター(次世代電力計)の発注は、競争入札を全面的に導入すべき」(日本経済新聞電子版、2012/5/30)との意見が出され、1万円という目標値が示された。また、賠償対象費用を原価参入することの是非に関しては、株主と国による負担を求める声がある一方で、受益者負担の原則により料金に転嫁すべきとの声もあり意見が分かれた。



□気候変動分野

 28日に地球環境部会と2013年以降の対策・施策に関する検討小委員会の合同会合が開催された。総合資源エネルギー調査会基本問題委員会で示された原子力発電の割合を基に、各研究機関が推計したGDPや電力価格、CO2排出量への影響結果が示された。推計には数値の幅はあるものの、原子力発電比率が0%のケースがGDPの下げ幅が最も大きい結果となった。また報告書素案では、原子力発電比率と省エネ・再生可能エネルギーの推進強度からなる2013年度以降の施策の選択肢とその場合の温室効果ガス削減量(2030年)を示した。具体的には、(1)原発0%・高位強度・GHG25%削減、(2)原発15%・中位強度・25%削減、(3)原発20%・中位強度・27%削減、(4)原発25%・低位強度・20%削減、(5)原発35%・低位強度・24%の5つのシナリオを示した。次回合同部会で報告書の取りまとめを行い、エネルギー・環境会議に報告するスケジュールとなった。

 また、1日に税制全体のグリーン化推進検討会が開催され、3名の有識者へのヒアリングが行われたほか、国内外の税制全体のグリーン化の現状などが報告された。燃料種間の税額の不均等が改めて課題として指摘された。
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