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■2012年5月第3週(2012/5/14~5/20)の動き(報告:佐々木努


□エネルギー分野

 今週はエネルギー政策に関する審議会・委員会が数多く開催された。

 14日には基本問題委員会が開催され、省エネの数値目標とコジェネの推進策、エネルギーミックスの選択肢を中心に議論が行われた。省エネについては省エネ効果の詳細な推計結果が報告され「『さらなる省エネ』は現実性が薄いことが明確になった」(電気新聞、2012/5/16)。また、コジェネについては2030年の発電電力量に占める割合を15%とし、選択肢によらず共通の数値目標にすることが決まるとともに、政策的な位置付けを明確にする必要性や電力システム改革と一体で議論すべきなどの意見が出された。一方、エネルギーミックスに関しては委員間の意見の相違が大きく継続審議されることとなった。

 同日に開催された電力需給に関する検討会合では、今夏の各電力会社管内の需給状況が明らかにされ、2010年の猛暑の場合には関西で17.9%、九州で5.2%の不足が見込まれるとした。節電については関西で15%、九州で10%、四国・中部・北陸・中国にそれぞれ5%の数値目標を要請する方針も示された。需給の詳細については同日に開催されたエネルギー・環境会議にて報告されている。また、18日にも電力需給に関する検討会合が開催されて再度議論がなされ、同日開催されたエネルギー・環境会議において今夏の電力需給の見通しと節電対策を正式決定した。結局、電力使用制限令の発令は回避することとなったが、関西、九州、四国、北海道の4電力管内では計画停電の準備を進めるとした。

 また、15日には天然ガスシフト基盤整備専門委員会が開催された。会合ではガス事業者からLNG基地停止時の供給継続性についてヒアリングが行われ、広域ガスパイプライン整備に関するコスト試算についても議論された。パイプラインの建設費用は最大口径を採用すると1兆6400億円になり、その際の価格低減効果は年間176億円との試算が示された。

 さらに、同日には東京電力の規制部門の電気料金引き上げ申請を審査する電気料金審査専門委員会の初会合が開かれた。「すべてのコストを料金に反映させることに慎重論」(日本経済新聞電子版、2012/5/15)が出たり、埼玉県の上田清司知事や全国消費者団体連絡会の阿南久事務局長らが情報公開やコスト削減の徹底を求めたりするなどの議論が行われた。

 さらに、15日はエネルギービジネス戦略研究会も開催され、GEエナジーの成長戦略や人事戦略、日本のエネルギー産業政策への提言などのプレゼンテーションを受けた。合わせて日本の重電機器産業の現状も紹介され、地場企業との連携や海外拠点の整備、輸出支援などの取り組みの方向性が示された。

 18日には電力システム改革専門委員会が開催され、電力小売りの全面自由化を目指す方針がまとめられ、「早ければ来年1月の通常国会に電気事業法の改正案を提出する」(電気新聞、2012/5/23)流れとなった。同委員会は今後、料金の高騰を防ぐなどの需要家保護策のあり方や発送電分離の具体策などの詳細検討を継続する。



□気候変動分野

 14日に新クレジット制度の在り方に関する検討会の第2回会合が開催された。国内クレジット制度やJ-VER制度に参加する事業者へのアンケート結果が示された。事業計画書作成の手間やクレジットの買い手を確保する手間、クレジット価格への不満などの課題を指摘しつつも、統合を支持する回答が多く見られた。新制度に向けては両制度の統合を軸に検討が進む見込みで、複数の区分を設けるなどが提案された。

 翌15日には税制全体のグリーン化推進検討会の初回会合が開かれた。(1)制全体のグリーン化の意義、(2)中長期的な方向性、(3)現行税制の環境面からの評価、(4)今後の税制全体のグリーン化の推進方策、(5)税制全体のグリーン化を推進する上での検討・留意事項の5つを本会合での議題にあげ、7回程度会合により税制改正要望等に反映される意見のとりまとめを行うとした。

 さらに16日には地球環境部会と2013年以降の施策検討小委員会の合同会議が開催された。温暖化対策の推進強度(高位、中位、低位)を中心に、原子力発電比率や経済影響などの組み合わせにより選択肢を作成する方針を提示し、6月8日の会合で中間取りまとめるスケジュールも合わせて示された。
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