政策センシング
■2012年4月第4週(2012/04/23~04/29)の動き(報告:佐々木努)
□エネルギー分野
4月第4週はエネルギー関連の委員会が数多く開催された。
23日に開催された需給検証委員会において、沖縄電力を除く電力各社の今夏の電力需給見通しが発表された。需給ギャップが生じるのは関西、九州、北海道の3社で、関西は16.3%の大幅な不足であるとした。不足にならなかった他の電力も「安定供給の目安となる『8%余剰』を下回っており、天候次第では全国的に電力不足が生じる可能性がある」(日本経済新聞電子版、2012/4/24)としている。2011年7月の政府試算では全国で9.2%の不足としていたが、今回の電力各社の試算では全国で0.4%の不足となった。
25日には電力システム改革専門委員会が開催され、送電部門の中立性確保のあり方や託送制度、広域系統運用などの議題について討論がなされた。会合では送配電線運用を担う電力系統利用協議会(ESCJ)が中立性を確保できていない事例が指摘され、委員からの批判が相次いだ。関西電力と中部電力からはリアルタイム市場創設に関する提案がなされ、評価する意見とともに詳細な情報公開を含む検討を求める意見も出た。また、“地域間連系線等の強化に関するマスタープラン研究会”の中間報告書についても反対意見が相次ぎ、了承されなかった。
また、同日に調達価格等算定委員会が開催され、電源ごとの買取区分・買取価格・買取期間についての委員長案が提示された。太陽光、風力、地熱、中小水力、バイオマスの5つの電源を14の価格帯に分類しており、太陽光は10kW未満が42円・10年、10kW以上が42円・10年、風力は20kW以上で23.1円・20年などとした。調達価格等算定委員会は翌々日の27日にも開催され、委員長案におけるサーチャージ額の試算結果が示された。概ね0.2円/kWh~0.4円/kWh程度とし、標準的家庭にて月額7000円程度とした。結局、同案は了承され、報告書は同日中に枝野幸男経産相に提出された。今後は「パブリックコメント(国民への意見聴取)を経て5月中に正式決定する」(日本経済新聞電子版、2012/4/28)流れとなる。
26日に開催された基本問題委員会では、エネルギーミックスに関する審議に加え、再生可能エネルギー導入に伴う系統対策費用の試算が示された。余剰電力対策として出力抑制による調整を採用した場合には6.8兆~21.1兆円が、蓄電池のみでの対応の場合には60.1兆~110.6兆円が必要との結果となった。
また同日には今週2回目となる需給検証委員会が開催された。電力各社が提出した供給・需要想定について検証が行われ、供給力の上積みは困難であるとの認識で概ね一致した。需要については、節電効果として計上した“定着した節電効果”に随時調整契約の項目が織り込まれていない点が指摘され、次回会合にてこの節電効果を踏まえた需給計画を検討することとなった。
□気候変動分野
25日に開催された地球環境部会では19日の2013年以降の施策検討小委員会での議論の内容が報告され、“2013年以降の対策・施策に関する報告書

また、同日には中央環境審議会が開催され、環境政策の基本方針を示す第4次環境基本計画案をまとめ、細野豪志環境相に答申した。懸案となっている地球温暖化対策分野においては、2050年までの長期目標については90年比80%減を明記する一報で、2020年までの中期目標についてはエネルギー政策の検討と表裏一体で進めるとの表現にとどめている。