政策センシング
■2012年4月第2週(2012/04/9~04/15)の動き(報告:佐々木努)
□エネルギー分野
11日に基本問題委員会が開かれ、前回に引き続きエネルギーミックスの選択肢に関する議論が行われた。エネルギーミックス選択肢の定量的な議論に加え、各位委員からの提案事項から事務局が定性的な論点をまとめた資料も用意され、“国民の安全の確保”、“国民が安心できる持続可能な社会”、“需要サイドを重視した社会”、“消費者・生活者・地域を重視した社会”、“国力を支え世界に貢献する社会”、“多様な電源・エネルギー源を活用する社会”などの論点整理が行われた。
また、同日には調達価格等算定委員会も開催された。住宅用の太陽光発電については電気料金の上乗せ幅が膨らむとの懸念から現行の余剰電力買取制度を維持する方針が確認された他、「買取価格は統一した費目でコストを算定し、発電種類ごとの事業リスクに応じてIRR(内部収益率)を設定する方向性」(電気新聞、2012/4/12)が定められた。さらに、バイオマス発電についてはいくつかにグルーピングして価格設定を行う方向で了承が得られた。
さらに、経済産業省は再生可能エネルギーや省エネルギー、スマートグリッドなどの新たなエネルギー産業に関して、海外展開を視野に入れた競争力強化に向けた戦略構築のために“エネルギービジネス戦略研究会”を立ち上げることを発表した。
□気候変動分野
12日に開催された2013年以降の施策検討小委員会では、基本問題委員会が示した2030年の原子力発電の電源比率(0%、20%、25%、35%)や再生可能エネルギー普及拡大施策などで複数のシナリオを設定し2030年の温室効果ガス排出量の推計を行った。原子力発電の比率がゼロの場合には、施策の導入強度によって90年比10%~25%減の幅が生じる結果となった。今後は、基本問題委員会の足並みに合わせて検討を進める。
翌13日の地球環境部会では、森林吸収源や農地における炭素貯留の可能性に関する検討が行われた。第1約束期間では年平均3.8%分の排出削減を見込んでいた森林吸収源だが、2013~2017年(または2020年)においては年平均3.5%の排出削減と若干の吸収能力の減少が見込まれていることなどを示した。また、二国間オフセットクレジットメカニズムや気候変動の適応などの分野において国際協力を進めていく方向性も合わせて示された。
また、日本政府は11日にEUが提案している海運分野の域内規制案に反対する意見書を提出した。EUは燃料消費量に応じた課金、船舶ごとの排出上限の設定、排出量取引制度、船舶燃料税を提示しているが、日本政府はIMO(国際海事機関)による多国間の枠組みによる削減取り組みの有効性を主張している。