政策センシング
■2012年3月第3週(2012/03/12~03/18)の動き(報告:佐々木努)
□エネルギー分野
14日にコスト等検証委員会が開催された。12月に公表した電源別のコスト検討結果に対する意見募集(Call for Evidence)の結果の報告があった。原発事故の費用の計算方法については新しい情報が得られた時点で見直すこととしたほか、発電コストの計算方法の見直しについては「エネルギーミックスのシナリオが固まった段階で試算を行う」(電気新聞、2012/3/15)ことが決まった。
また、同日には基本問題委員会も開催され、各委員の2030年における電源別発電構成案が示された。原子力は0~35%、再生可能エネルギーは13~72%、コジェネは最大で25%、省電力は最大で30%(2010年度比)などの結果となり、委員間で大きく意見が分かれた。今後は「4月中に各委員の案を類型化した電源別構成案をまとめ、政府のエネルギー・環境会議に提示する」(日本経済新聞電子版、2012/3/14)流れで検討が進められる。
3月15日には電気料金制度・運用の見直しに係る有識者会議が開催され、“電気料金制度・運用の見直しにかかる有識者会議報告書”がとりまとめられた。
さらに、同日には調達価格等算定委員会の2回目の会合も開催された。“通常要すると認められる費用”や“適正な利潤”などの解釈の他、発電設備区分や設置形態・規模など事務手続き上の分類方法などの議論がなされた。
□気候変動分野
13日に国内排出量取引制度の課題整理に関する検討会の試算結果を公表した。有識者から成る“国内排出量取引制度の課題整理に関する検討会”では、総量方式で排出枠を割り当てる排出量取引制度(キャップアンドトレード方式、電力会社には原単位で規制)を2013年度以降に導入した場合の影響を検討してきた。「(トン当たり)4500円で排出枠を設定し、外部クレジットが同2500円と想定したケース場合、制度を導入しない場合と比べて20年断面で44.5%程度削減できる」(電気新聞、2012/3/15)との試算をまとめている。一方で、導入に伴うGDP成長率への影響は0.01%程度とほとんどないことも合わせて示された。
また、同日には環境省と経済産業省が主催するサプライチェーンを通じた組織のGHG排出等に関する調査・研究会が開催され、企業がサプライチェーン全体で排出する温室効果ガスの算定方法に関する中間ガイドライン案が公表された。
15日に開催された2013年以降の施策検討小委員会では低炭素ビジネスWGとりまとめ(案)が公表され、東日本大震災と原子力事故の発生を受けて生じた需要家意識の変化を踏まえた新しい低炭素ビジネスの必要性を指摘している。