政策センシング
■2012年2月第4週(2012/02/20~02/26)の動き(報告:佐々木努)
□エネルギー分野
22日に開催された基本問題委員会では、「各委員に対して原子力や火力、天然ガス、再生可能エネルギーなどを組み合わせた『エネルギーミックス』案を3月9日までに事務局へ提出する」(日刊工業新聞、2012/2/23)ことが決まった。需要側の省エネ割合なども根拠とともに提示する流れとなる。その上で、東日本大震災など経済情勢の変化に合わせGDPの下方修正などを行い、2030年のエネルギー需要見通しについても見直しを行う。今後は「省エネルギー施策を加え、これらを確実に実施した場合、需給見通しからどのくらいのエネルギー削減効果が得られるか試算」(日刊工業新聞、2012/2/21)して国民に提示していく流れとなる。さらに、経済産業省は国内産業構造の抜本的転換に向けた価値創造型の経済社会ビジョンを策定し、製造業中心から再生可能エネルギーや育児・介護などの新産業に政策の重点を移すことを提示しており、現在議論されているエネルギー問題を国家戦略の中に埋め込んでいく作業が行われる。
また、昨年の臨時国会では同意が得られず廃案になった固定価格買取制度の調達価格等算定委員会のメンバー案が再提示された。具体的には新日鉄の進藤孝生副社長を京都大学の植田和弘教授に変更した。「経団連メンバーがはずれたことで、国会での審議もスムーズに運ばれそう」(エネルギーと環境、2012/2/23)との見立ても出ている。人事案が承認されれば委員会が開催され、再生可能エネルギーによる発電ビジネスも大きな進展を見せることとなる。
なお、地域間連系線等の強化に関するマスタープラン研究会でも話題となっている系統整備について、同会合後に横山座長が「研究会の中で(風力発電の送電線に関する)支援策についても検討できれば」(電気新聞、2012/2/21)と述べており、風力発電における系統接続設備の建設を財政支援する方向で検討する流れとなった。
□気候変動分野
22日に2013年以降の対策・施策に関する検討小委員会が開催された。この日の会合では施策を検討する基礎材料として、マクロフレームWGからは“5つの想定される社会像とその社会像の定量化”(人口や経済関連指標)が、技術WGからは“住宅・建築物、自動車、エネルギー供給などの2050年の姿”が示された。今後はこうした各WGの将来像・対策・施策などをもとに委員会として複数の選択肢をまとめていくことになる。
また、政府は「農地を二酸化炭素(CO2)の吸収源と位置づけ、2013年度から温室効果ガスの排出削減量に加える方針を固め」(時事通信社、2012/2/20)、農業関連施策にも地球温暖化の観点が加えられることとなった。