政策センシング
■2012年2月第3週(2012/02/13~02/19)の動き(報告:佐々木努)
□エネルギー分野
13日に省エネルギー部会が開催され、国会提出予定の省エネ法改正案などに関して中間まとめ案をとりまとめた。改正案は前週の案からの大きな変更はないが、電力ピーク時間帯ごとに省エネ効果係数を定め、エネルギー原単位を割増す方式を示したが、係数自体は法案成立後に検討するとした。また、「省エネ基準の適合義務化のロードマップを、省エネ法改正の成立までに明らかにする」(エネルギーと環境、2012/2/15)ことも明らかになった。
翌14日には基本問題委員会が開催された。前回に引き続き、省エネと節電対策についての議論が展開され、コジェネの普及促進に関する支持が相次ぎ、「コージェネ発電電力の優先接続や固定価格買い取り制度の創設、熱導管の敷設など具体的な提案」(エネルギーと環境、2012/2/15)がなされた。今後、産業界へのヒアリングなどを踏まえて議論を深めていく予定となっている。
この動きと関連して、各政党での提言とりまとめの動きも見られた。民主党のエネルギー政策に関するプロジェクトチームは「『2020年代の早い時期に電力の20%を再生可能エネルギーとする』目標を掲げるよう政府に求めること」(日本経済新聞、2012/2/19)を柱とする提案をまとめたほか、自民党は総合エネルギー政策特命委員会の中間報告をまとめたが、「『電源構成のベストミックスを早急に確立する必要がある』とするのみで、具体的な数値は盛り込まなかった」(電気新聞、2012/2/16)ように、両党とも総論的な内容で具体性を欠くものとなっている。
また、16日には地域間連系線等の強化に関するマスタープラン研究会の初会合が開催され、4月中をめどに取りまとめを目指すことが確認された。今後、連系線の強化の議論が本格化する。
□気候変動分野
期間中に日本国内では関連審議会、委員会などは開催されておらず、地球温暖化関連の政策に関する注目すべき記事は特に見られなかった。
一方海外では、先週に引き続きEU-ETSを巡る議論が続いた。中国、インド、ブラジル、南アフリカの4カ国はEUの航空機排出規制への反対姿勢で一致し、「EUが航空機の温室効果ガスの排出規制に定めた一方的な行動に反対する。これは国連の多角主義の精神に背くもので、『国連気候変動枠組み条約』に強調された『共同かつ区別ある責任』の原則にも合致しない」(CRJ、2012/2/15)との考え方を示した。新興国の他、米国も強い抗議を行っているが、EUは制度変更しない姿勢を見せており、主張は平行線をたどったままだ。この問題の解決にはしばらく時間がかかりそうな状況だ。