政策センシング
■2012年2月第2週(2012/02/06~02/12)の動き(報告:佐々木努)
□エネルギー分野
7日に省エネルギー部会が開催された。同日の会合では部会としての中間取りまとめ案について検討された。ピーク対策を評価する仕組みの導入と民生部門の対策推進の2つを大きな柱とした。具体例には、蓄電池やエネルギー管理、自家発電、蓄熱式空調・ガス空調などの対策を夏期・冬期の平日昼間の時間帯に限定してエネルギー消費原単位の算出方法に反映することや建築材料等にトップランナー制度を設定することなどの案をまとめた。「企業の省エネ努力が評価されるよう従来施策との連続性を踏まえる必要性を明示。制度の詳細設計は合理化係数の倍率設定が焦点」(日刊工業新聞、2012/2/8)となる。
また、9日には基本問題委員会が開催された。エネルギーミックスの選択肢を検討する上で想定すべき需要サイドの省エネ対策や省エネ量について議論が行われ、省エネ目標を作る方向でまとまった。これに関連して、ジャーナリストの田原総一郎氏が自民党の総合エネルギー政策特命委員会において、「政府のエネルギー政策を議論している中心メンバーである仙石由人政調会長代行、枝野幸男経済産業相、古川元久国家戦略担当相、細野豪志原発事故担当相・環境相の4人から聞いた結果」として「10年後は化石電源が40%、原子力、省エネルギー、自然エネルギーがそれぞれ20%」(電気新聞、2012/2/10)と紹介した。電源ポートフォリオについては国民による選択の後に決められるプロセスだが、この数字は政府の想定として留意すべき情報だろう。
□気候変動分野
10日に2013年以降の対策・施策に関する検討小委員会が開催された。2020年と2030年の排出目標の選択肢策定に当たっては、「原子力発電への依存度低減シナリオとの整合性や防災、エネルギーセキュリティーを意識した需給バランスといった観点から検討を進めていく方向」(電気新聞、2012/2/13)でまとまった。また、コミュニケーション・マーケティングWGからは、CSR担当者や自治体の温暖化対策担当者向けのガイドラインの作成を行ったことが報告された。また、2012年度の初めを目処にとりまとめを公表するスケジュールも示された。
海外関連では排出権取引に関する動きが見られた。中国政府は「欧州連合(EU)が1月1日から航空業界に適用した温室効果ガス排出量取引制度(EU-ETS)について、国内航空会社が政府の許可なく従うことを禁じる」(AFP、2012/2/6)通達を示した。この問題を巡っては他国や航空産業からも反対の声があがっており、今後の行方が注目されている。