政策センシング
■2012年2月第1週(2012/01/30~02/05)の動き(報告:佐々木努)
□エネルギー分野
1日に基本問題委員会が開催された。同日の会合では原発事故を巡るレビューが行われるとともに、委員会の今後のスケジュール感が示された。3月9日頃までに委員から「2030年に向けた電源構成と1次エネルギー供給構成を含むエネルギーミックスの全体像について意見を募る」(電気新聞、2012/2/3)としている。複数の分析モデルを用いて経済影響などを分析するため、「経済影響分析も含めたエネルギーミックスの選択肢が最終的にまとまるのは、当初予定の年度内から4月末~5月ごろにずれ込む見通し」(電気新聞、2012/2/3)としている。
また、2日には電力システム改革専門委員会の初回会合が開催された。枝野経済産業大臣は「『地域分割された電力供給体制を変えることで安定供給につながるのではないか』とあいさつし、電力会社が特定の地域で独占的に営業する地域独占を見直す方針を明言」(日本経済新聞、2012/2/3)しており、今後の検討に注目が必要である。スケジュールは今夏までに結論を得る予定とした。
さらに、3日には電気料金制度・運用の見直しに係る有識者会議が開催された。「電力会社がコストとして電気料金の総原価に盛り込んでいる燃料費、人件費、修繕費などほぼすべてについて、算出方法を改めたり、引き下げたりする」(読売新聞、2012/2/3)ことを求め、家庭向け電気料金の決め方については東京電力から提案されている値上げ幅の圧縮を検討した。
地方自治体においても、東京都が「2012年度予算原案に100万kW級の天然ガス発電所の設置に向けた自然環境調査、大規模オフィスなどへのコジェネ導入を促進するための補助制度創設」(ガスエネルギー新聞、2012/1/31)などを盛り込み、「都心や臨海副都心の大規模開発時にスマートグリッド導入を推進」(日刊建設工業新聞、2012/1/31)する方針を進めている。今後、他道府県、政令指定市などが追従する動きも考えられるため、その動向には注目が必要だ。
□気候変動分野
30日に中央環境審議会地球環境部会が開催された。春頃をめどに地球温暖化対策の選択肢の原案を策定しエネルギー・環境会議に報告するスケジュールとしている。今後、具体的には「気温上昇を2℃以内にとどめるため、50年に温室効果ガス排出量を世界で半減、先進国で80%削減するという長期目標を視野に、前提条件なしの20年、30年の目標を複数提示する」(環境新聞、2012/2/1)こととなる。会議では細野豪志環境相が2020年と2030年の削減目標について前提条件を付けない検討を要請したほか、「各国の動向にかかわらず我が国として何をなすべきか」(日本経済新聞、2012/1/30)が重要との認識を示した。今後20年程度の地球温暖化施策の方向性を把握するには、エネルギー関連の諸会議も含めて今春までの議論をウォッチすることが必要になる。
地方自治体においても、富山市が家庭での省エネ・CO2削減対策にインセンティブを付与する仕組みの導入を発表した。「太陽光発電システムを設置していない世帯を対象に、7月から12月の期間に、電気使用量の削減に取り組み、前年同時期と比較して、その削減率に応じて公共交通利用券と交換可能なエコケロポイントを付与」(共同通信、2012/2/1)するという内容で、同様の仕組みは他都市でも実施されており、今後も拡大する可能性がある。