ビューポイント No.2026-008 強化が急務の金融詐欺対策 2026年05月26日 森口善正電話やSNS等を通じて被害者を騙し、振り込み等の方法により金銭を騙し取る金融詐欺が世界的に急増しており、深刻な社会問題となっている。近年は、国際的な犯罪組織がAI等の最新テクノロジーを活用し、詐欺を巧妙化、組織化、大規模化させている。金融詐欺は、被害者に深刻な財産的損害をもたらすだけでなく、デジタル金融システムに対する人々の信頼を揺るがし、ひいてはデジタル経済活動の生産性や効率性の低下をもたらす恐れがある。こうしたなかでオーストラリアやシンガポールは金融詐欺対策を強化し、一定の成果をあげている。こうした事例を踏まえ、わが国に求められる取り組みとして次の四つを指摘できる。第一に、政府に詐欺対策の司令塔機能を担う専担組織を設置し、政府横断的な行動計画を策定したうえで強力に推進すること第二に、詐欺のライフサイクル全体に対応して、金融機関や通信事業者、デジタル・プラットフォーム事業者を含む幅広い民間セクターと関係当局が詐欺に関する情報やインテリジェンスを安全かつ迅速に共有する官民連携の枠組みを構築すること。その際、顧客情報の共有に対する明確なセーフハーバー・ルールを設けること第三に、金融詐欺の検知や防止にAIを活用すること第四に、国際的な連携強化を通じて情報共有と法執行能力を強化すること金融詐欺は日々進化するとともに、決済システムの高速化に伴い、犯罪収益の移転スピードもますます加速している。このようななか、幅広い官民連携体制の構築やAIをはじめとする先進技術の活用、国際連携の強化を通じて、「面」としての防御・包囲網を強化し、金融詐欺の検知・防止能力、国際犯罪に対する法執行能力を絶えず向上させていくことが不可欠である。(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)