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ビューポイント No.2025-040

労働時間規制を巡る議論のポイント ―規制順守で長時間労働への逆戻り回避を―

2026年03月26日 井上恵理菜


3月11日、高市首相が立ち上げた「日本成長戦略会議」の「労働市場改革分科会」で働き方の見直しに向けた議論が始まった。特に注目されるのは、労働時間規制を巡る議論である。労働時間は、働き方改革やコロナ禍を経て短縮傾向にあるものの、見直しの方向性によっては長時間労働に逆戻りする可能性もある。本稿は、その中心的な議題である「時間外労働の上限規制の一部緩和」と「裁量労働制の適用拡大」に関して、議論のポイントをまとめる。

時間外労働の上限規制の一部緩和については、2019年施行の「働き方改革関連法」により新たに定められた上限規制の緩和が議論されている。もっとも、わが国は依然として男性の長時間労働者比率が高く、かつ、同法の上限規制が厳守されているとは言い難い状況にある。このため、むしろ、時間外労働の上限規制は堅持したうえで、規制の順守に向けた取り組みが必要である。

裁量労働制の適用拡大については、裁量労働制の適用業種に営業や経営コンサルタントを加える点が議論されている。もっとも、裁量労働制適用者は長時間労働者比率が高いほか、営業職は就業者の1割超を占め、裁量をもたない人も多く含まれると予想されるため、適用業種の拡大には慎重な議論が必要である。

「時間外労働の上限規制の一部緩和」と「裁量労働制の適用拡大」は、どちらも労働時間の増加を招く蓋然性が高い見直し案である。安易な長時間労働への回帰は、近年の働き方改革の成果を損ない、ワークライフバランスを後退させるリスクがある。労働時間という「量」に依存するのではなく、効率化を積み重ねることで労働の「質」を改善し、企業の成長と労働者の生活の質の向上を両立させることが望まれる。


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