RIM 環太平洋ビジネス情報 2001年1月号No.52
不透明なまま拡大する台湾企業の中国進出
2001年01月01日 さくら総合研究所 小林重雄
要約
台湾企業の中国進出の大半は台湾当局への届け出なしに、闇で行われてきている。中国当局も台湾企業の実際の中国投資累積額は把握していない状況にある。台湾企業が、闇で中国へ出る背景には、中台が準戦時体制にある歴史的由来や企業の独特の体質、経営手法などの要因がある。
台湾当局は、政治対立緩和が全く期待できない現状下で台湾企業の中国進出が続けば、経済面で台湾の中国依存が増すため、この流れを危険なものと見ている。しかし中国へ出れば、生産コストの引き下げが可能であるため、製造業中心に大量の台湾企業の中国進出が続いている。中国は台湾企業の中国への投資を奨励し、関連法規を制定した。一方台湾も後追い的に関連法規を制定し、当局への届け出による投資の正規化を呼びかけている。
過去から現在まで台湾企業の中国投資は電子・電機製造業種が最多であるが、それ以外では労働集約的業種が多い。進出地は広東省、上海市を含んだ江蘇省、福建省が上位3地域である。
台湾企業の中には、台湾が国民党独裁下にあった時代に熟知した中国、中国人の体質、建て前と本音の違いなどの知識を生かして巧みに事業展開しているものが多い。反面、政治体制、国情、民情の違いから台湾企業は多くの悩みを抱えている。経営面で利益を上げているのかどうか実態がはっきりしない。利益送金も税務上やり難い。
今後も台湾企業の中国進出が続いても、中台統一には結びつかない。台湾では台湾人意識の高揚とともに、企業の中国投資が増加するという現象が見られる。
企業経営環境の変化の中で、台湾企業の中国進出は止まらない。今後中台の経済交流、民間交流は拡大していき、政治緊張が徐々に緩和されていく可能性はある。

