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RIM 環太平洋ビジネス情報 2001年1月号No.52

特集:経営統合を控えた邦銀のアジア戦略
グローバル・プレーヤーとして飛躍する好機となるか

2001年01月01日 さくら総合研究所 上席主任研究員 高安健一


要約


1997年に日本とアジアが金融システム危機に見舞われて以来、邦銀のアジア地域におけるプレゼンスは急速に低下した。欧米銀行が勢力を拡大していることから、アジア市場は邦銀のホームグラウンドとはいえない状況になっている。

わが国では2002年4に向けて、三菱東京フィナンシャル・グループ、みずほフィナンシャルグループ、UFJグループ、三井住友銀行が経営の完全統合を実現する。21世紀初頭の邦銀の国際銀行業務は、この4大金融グループを軸に展開することになる。4大金融グループが世界の主要な市場で、多様な金融商品を、多くの顧客に提供するグローバル・プレーヤーとなることを目指すのであれば、アジアは絶対に欠くことのできない市場である。

経営統合は、通貨危機と国内の金融システム不安で後退したアジア戦略を、再構築する好機である。統合効果により、収益基盤が強化されるならば、アジアに投入できる経営資源も拡大しよう。

アジア戦略の再構築に際して、経営判断を問われるのは、世界の市場で通用するグローバル・プレーヤーとなることを目指すのか、それとも日系企業を中心とした金融サービスの提供に軸足を置くのかという点である。いずれを選択するかにより、アジアで投入する経営資源が量的にも、質的にも異なってこよう。ただし、どちらの場合でも、株主資本利益率(ROE)に代表される財務目標の達成が求められるであろう。

アジアの多くの国々で金融機関の整理・統合が急速に進んでいることや、欧米金融機関の攻勢が強まっていることを勘案すると、アジア戦略の早急な再構築と、その迅速な実施が何にも増して重要である。経営統合のメリットを早急に実現するとともに、アジアの地場銀行との戦略的提携の推進、情報通信ネットワークを活用した情報共有や意思決定の迅速化、地域統括機能の充実、現地スタッフの積極的な登用などを進めるべきである。

アジアでの事業展開を考えるにあたり、通貨危機前と比較して、ビジネス環境が大きく変化してきたことを十分に考慮する必要がある。具体的には、(1)国外からの資金調達ニーズが低下しており、外銀が付加価値の高いサービスの提供を求められていること、(2)国内通貨建てでの金融サービス・ニーズが高まっていること、(3)資本市場での資金調達が拡大してきたこと、(4)資金調達者としての情報通信産業・関連企業の台頭がみられることなどである。

メガ・バンクとなる4大金融グループは、これまで以上に、自らの行動が顧客やアジア諸国経済に影響を及ぼすことを意識して業務を推進すべきである。
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