RIM 環太平洋ビジネス情報 2001年4月Vol.1,No.1
アジアの生物資源開発の可能性
2001年04月01日 渡辺幹彦
要約
生物資源から開発される薬品の市場は、全世界で、年間最大1,500億ドルに及ぶと推測されている。IT機器の市場が、5,000億ドル規模であることと比較すると、無視できない規模であることがわかる。
シンガポール、マレーシア、コスタ・リカなどでは、既に、欧米の製薬企業が進出し、資源利用権獲得への投資を行なっている。
インドネシアは、この薬品開発などのための資源開発「ポテンシャル」が高いと考えられる。この理由として、インドネシアの豊かな生物多様性が挙げられる。植物に関しては、アジアで2番目に豊かであり、哺乳類に関しては、世界で最も豊かである。特に、植物資源に関しては、固有種が、66%に達しており、資源そのものが極めて豊かであるといえる。
インドネシアの生物資源から、薬品開発が成功したと仮定し、そこからの利益を試算する。開発する製薬企業にとっての利益を、過去に生物資源から開発された薬品の売上高から試算する。また、製薬企業にとってのコストを、薬品の研究開発費用、資源利用の事前・中間・ロイヤリティ支払から試算する。一方、インドネシアにとっての利益は、資源利用の事前・中間・ロイヤリティ支払であり、コストは、資源の保全費用である。この結果、製薬企業にとっては、現在割引価値で、利益が11億6,900万ドル、コストが3億2,600万ドルで、莫大な利益となると試算される。また、インドネシアにとっても、利益が2,700万ドル、コストが1,500万ドルとなり、生物資源の保全コストが、「投資」として、回収されることとなる。
インドネシアは生物資源の有効利用によって経済開発を進めることが望まれる。このためには、インドネシアが資源利用の明確なガイドラインを策定するなどの法整備を進めること、先進国が資源利用の際の十分な事前協議を実施すること、国際援助機関が資源情報の整備を促進すること、日本がリーダーシップを発揮し、ハブ機能をもった機関を設立すること、などが必要である。

