コンサルティングサービス
経営コラム
経済・政策レポート
会社情報

経済・政策レポート

RIM 環太平洋ビジネス情報 2001年7月号Vol.1,No.2

日本の東アジア向け直接投資の新展開

2001年07月01日 今井宏


要約

最近の日本の対外直接投資の特徴として、(1)先進国向け投資のウエートが高まってきていること、(2)途上国向け投資のなかで、伸びている国・地域と伸び悩んでいる国・地域とで二極化が進んでいること、の二つが指摘できる。

このような動きに大きな影響を与えているのが、グローバルな経営環境の変化である。90年代初頭以降加速する市場開放や規制緩和、民営化により、グローバル規模で競争を展開し、他の企業に打ち勝つための体質強化や規模の拡大が、企業の最大の関心事となっている。このため、先進国間でのクロスボーダー型 M&Aが、日本企業を含め急増している。一方で、日本国内では、バブルの後遺症や競争力強化のためのリストラが進展中で、対外投資についても限られた資源の有効活用という観点から従来の積極的な海外戦略を見直し、投資先の選別基準も一層厳しくなっている。とくに、東アジアでは、製造業投資の一巡と過剰設備の蓄積に加え、経済危機の後遺症から新規・追加投資ともに難しい状況にある。

今後の日本企業の海外投資動向について展望すると、(1)先進国向け投資のウエートがさらに高まること、(2)東アジア向け投資の伸び悩みが懸念されること、の二つの特徴が指摘できる。先進国向け投資は、今後も大企業を中心に増加傾向が続くとみられる。全体として伸び悩みが懸念される東アジア向け投資についても、国ごとにみれば、(1)労働コストの違い、(2)産業集積度の違い、(3)市場規模の違い、(4)外資受け入れに関する規制緩和の違い、(5)政情の安定度の違いなどの要因から、投資受け入れが順調に進む国とそうでない国とで二極化が進む可能性が高くなってきている。NIEsや中国向け投資が拡大するのに対し、ASEAN4カ国は極めて厳しい状況にある。

今後、日本企業、とくに製造業が東アジア投資を進めるにあたって必要なことは、国際競争の激化に対応したコスト削減と、進出先の市場開放やAFTAなど域内市場の拡大に対応した販売力の強化である。このためには、過剰な期待や過小な評価に左右されることなく、合理的な判断を下す必要があり、例えば中国に一極集中するのではなく、これまで東アジアで長年にわたって培ってきた分業ネットワークという最大の強みをベースに、今後もリスク分散型の投資を進めていくことが必要である。
経済・政策レポート
経済・政策レポート一覧

テーマ別

経済分析・政策提言

景気・相場展望

論文

スペシャルコラム

YouTube

調査部X(旧Twitter)

経済・政策情報
メールマガジン

レポートに関する
お問い合わせ