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RIM 環太平洋ビジネス情報 2001年10月Vol.1,No.3

貿易・産業連関面からみた東アジア域内関係の変化

2001年10月01日 向山英彦


要約

1991年と2000年の世界貿易マトリックスを比較すると、(1)世界の貿易額が1.8倍に拡大する中で、東アジアからの輸出額は2.5倍に拡大、なかでも東アジア域内貿易は3.2倍、ASEAN4域内の貿易は4倍以上に拡大したこと、(2)東アジアから米国向け輸出も3.0倍に拡大し、東アジア域内貿易の伸び率とほぼ同じであったこと、(3)中国のプレゼンスが大きくなったこと、(4)日本の世界貿易に占めるシェアが低下した一方、米国のシェアが高まったこと、(5)日本の対東アジア輸出依存度は30.2%から37.9%へと大幅に上昇したことが読みとれる。

つぎに、貿易関係の緊密度をみるために、輸出面からみた貿易結合度を算出してみた。ここから明らかになったことは、(1)ASEAN各国ではASEAN諸国との貿易結合度が上昇したこと、(2)韓国では中国と台湾、台湾では香港と中国、中国では韓国、台湾および日本との結合度が上昇したこと、(3)NIEsとASEANの一部(韓国とインドネシア、マレーシアと台湾、フィリピンと台湾など)の国の間で貿易結合度が上昇したことなどである。

東アジア域内の相互依存関係を国際産業連関の視点からみると、85年から95年にかけて次のような変化があった。中間投入率表からは、(1)多くの国で国産財よりも輸入財を多く投入する傾向がみられること、(2)95年時点では、国産財の投入率は中国が最も高いこと、(3)韓国と台湾では90~95年の間に中国からの輸入財の投入率が大きく上昇したこと、(4)ほとんどの国で日本からの輸入財の投入率が上昇したことなどである。
 
また、逆行列表からは、国産財への誘発効果が高いのは、中国、日本、インドネシア、アジア諸国に対する生産誘発効果が高いのは、シンガポール、マレーシア、台湾と韓国では中国に対する生産誘発効果が高くなっており、中国では韓国、日本に対する生産誘発効果が高くなっていることなどが明らかとなった。

以上をまとめると、次のようになる。(1)東アジアでは域内貿易が拡大した結果、貿易面での関係が緊密化しており、国際産業連関では域内からの中間財投入比率の上昇となって表れている。(2)ASEANとならんで日本、韓国、台湾、中国などの間において貿易関係が緊密化している。前者の場合にはAFTAの創設、後者の場合には、韓国、台湾からの中国への生産シフトが緊密化の原動力となっている。(3)NIEsとASEANとの関係をみると、NIEsから ASEAN諸国への生産シフトが契機となり、関係が緊密化してきた。(4)中国とASEANとの関係は現段階ではまださほど緊密ではないが、中国の経済発展は貿易を通じてASEAN諸国に対してプラス効果をもたらしている。

今後の東アジア域内の関係は、中国を軸に再編成されていくことが予想される。しかし、このことは中国に生産機能が集中することを決して意味しないだろう。中国が今後より「開かれた生産構造」となることにより、アジア域内との分業が拡大していくものと予想される。また、東アジア経済の対米依存を低下させるためにも、日本経済の再生とともに、中国のアブソープション機能が強まることが期待される。
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