リサーチ・フォーカス No.2026-061 わが国の高度経済成長期における産業金融の特徴と新興国・途上国への示唆 2026年11月02日 谷口栄治高度経済成長期のわが国では、企業の旺盛な資金需要に対応するため、①メインバンク制度のもとでの間接金融、②長期信用銀行による長期資金の供給、③政策金融・政策誘導による資金配分、④護送船団方式による金融システムの安定、を特徴とする産業金融システムを形成。こうした仕組みは、家計の貯蓄を企業の大規模な設備投資へ振り向けるとともに、重点産業への資金配分を通じて産業構造の高度化を促進。企業と銀行の長期的な関係は、企業経営や雇用の安定にも寄与し、わが国の高度経済成長を金融面から支える重要な基盤に。一方、経済の成熟化や企業の資金需要の変化に伴い、銀行融資の一部が不動産取引等に流入。バブル経済とその後の金融危機を深刻化させる一因に。また、企業と銀行の長期的な関係が、不採算事業の縮小や産業の新陳代謝を遅らせる側面も存在。近年、新興国・途上国において、産業政策の重要性が高まるなか、設備投資や事業化につなげる産業金融の整備が不可欠。わが国の経験をそのまま移植するのではなく、以下の機能を切り分け、各国の経済、金融環境に応じた枠組みを構築することが重要に。① 時代が変化しても普遍的に重要となる機能金融システムの安定性を確保するとともに、国内金融機関、政府系金融機関、国際開発金融機関、海外金融機関等を通じて、産業基盤の整備に必要な長期資金を安定的に供給することが必要。② 時代の変化に合わせて調整すべき機能重点分野の成果を定期的に検証し、対象を機動的に組み替えるほか、銀行融資だけでなく、株式、社債、ベンチャーキャピタル等を含む多様な資金供給手段を整備することが重要。(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)