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リサーチ・フォーカス No.2026-050

銀行による信用リスク移転手段としてのSRT(Synthetic Risk Transfer)の概要

2026年09月29日 桂田健吾


近年、欧米の銀行を中心に、貸出債権を保有したまま信用リスクの一部を投資家に移転するSRT(Synthetic Risk Transfer)の活用が拡大。金融危機後の規制強化により、所要自己資本比率の引き上げやリスクアセット(RWA)計測手法の厳格化が進んだことを背景に、SRT は貸出を圧縮せずにRWA を削減する手段として注目。

SRT は、銀行が保有する複数の貸出債権を一つの貸出プールとして束ね、それを損失負担順位に応じて複数のトランシェ(階層)に分けたうえで、一部のトランシェの信用リスクをノンバンク投資家に移転する証券化取引。損失を優先的に負担するトランシェの信用リスクを移転することで、銀行はRWA を削減できる効果あり。

SRT の対象となった貸出債権は、フローベースで、2016 年の550 億ユーロから2024年には2,601 億ユーロへ拡大。残高ベースでは2024 年末時点で7,910 億ユーロに。地域別では、EU が49%、米国21%、英国16%、カナダ11%の割合。

国際決済銀行(BIS)や国際通貨基金(IMF)は、SRT について、現時点で大きなリスクは生じていないとしつつも、潜在的なリスクを指摘。具体的に、満期時に取引が継続できず、信用リスクを移転できなくなるロールオーバーリスクや、銀行がSRT 投資家に資金供給することで、リスクが複雑化する相互連関リスクなどが存在。

現時点でSRT を活用する邦銀は限定的ながら、間接金融中心のわが国では将来的な活用余地あり。もっとも、SRT には上記のリスクも伴うため、金融当局・銀行は以下の対応を通じて、適切なリスクテイクやリスク管理のあり方を検討していく必要あり。

金融当局:①SRT のリスクが金融システムに波及しないよう、リスクを把握・管理できる体制の整備が重要。②そのうえで、金融機関が適切にSRT を活用できるよう、自己資本軽減効果が認められる要件や銀行に求めるリスク管理体制を明確化する必要。

銀行:①欧米銀行におけるSRT の活用目的や効果などについての実態把握を行い、資本効率や貸出余力を高める手段の一つとしてSRT 活用の可否・要否を検討。②活用にあたっては、リスク管理体制の整備が不可欠。


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