リサーチ・フォーカス No.2026-049 自治体間連携で行政サービスの供給力強化を ― 共同処理で職員不足を緩和、広域的な行政体制の検討も必要 ― 2026年09月29日 立岡健二郎人口減少が進むなか、地方自治体では職員確保が難しくなっている。道路や上下水道、福祉、保育、消防など、住民生活に不可欠な行政サービスを今後も現在と同じ体制で提供し続けることは困難になる可能性が高い。 こうした職員不足への対応策として重要なのが自治体間の連携である。すでに、人事交流や役割分担に加え、消防、ごみ処理、介護認定などでは、複数の市町村が共同で事務を担う取り組みが広がっている。今後は、こうした「共同処理」の活用をさらに広げていく余地がある。 試算によると、市町村の職員数(公営企業・消防を除く)は、人口減少などを背景に、2050年には必要人員を約20%下回る。とくに、小規模自治体では不足幅が40~50%に達するケースもあり、行政サービスの供給力を維持することが難しくなる恐れがある。 これに対し、中心市と周辺市町村が連携する既存の「定住自立圏」を単位として、事務の共同処理や組織効率化を一段と進めた場合、職員充足率は平均で約8%ポイント改善すると試算される。さらに、市町村の統合まで進めれば、改善幅は約20%ポイントに拡大する。複数の自治体が共通の組織や事務をまとめて担うことで、自治体を維持したままでも必要な職員数を抑えられるためであり、とりわけ小規模自治体ほど効果が大きい。 以上を踏まえると、行政サービスの供給力を維持するには、まずは、共同化になじみやすい事務を中心に共同処理の拡大を後押しすることが重要である。ただし、それでもなお職員不足が残る可能性もある。諸外国では、基礎自治体の規模が小さい場合、自治体間の自主性に基づく個別的な共同処理にとどまらず、多目的な広域組織や中間レベルの広域自治体が一定の行政サービスを担う例もみられる。わが国でも、広域行政組織の制度化など、より広域的な行政体制のあり方を本格的に検討・具体化していくことが求められる。 (全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)