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リサーチ・フォーカス No.2026-037

AIの急速な進化がもたらす金融面でのリスクと求められる対応

2026年08月19日 谷口栄治


自律的な「AI エージェント」や最先端の「フロンティアAI」など、AI 技術が急速に進化し、金融分野での活用が進められる一方、リスクに対する懸念も拡大。金融安定理事会(FSB)等は、金融システム上のリスクとして以下の3点を指摘。

【AI の開発・提供に係るサプライチェーン・リスク】
大手IT 企業によるAI 基盤モデルやクラウド等の寡占化が進展。多くの金融機関が共通のデジタルインフラに依存することで、ベンダーロックインのリスクが拡大。
【共通モデルの利用による金融ショックの増幅】
市場参加者が共通のAI モデルを活用することで投資行動が同質化。市場変動時に、高速かつ自律的に金融取引(資産の投げ売り等)が行われ、金融ショックが増幅。
【サイバーリスクの深刻化(攻撃者優位の環境)】
フロンティアAI の悪用により、システムの脆弱性の特定や攻撃プログラムの自動作成が容易となり、サイバー空間における「攻撃者優位」の構造が鮮明化。

こうしたなか、FSB は本年6月、金融機関が「責任あるAI 導入」を実現していくために必要な原則を提示(組織全体のAI ガバナンス、AI ライフサイクル管理、横断的リスク管理)。以上を踏まえ、金融当局や金融機関として、以下の対応が必要。

① 自律型AI の浸透を踏まえた態勢整備
金融機関では、AI の活動範囲の管理や緊急停止措置(キルスイッチ)の導入等のガバナンスの高度化、金融当局では、AI を介した金融商品の勧誘など、AI の浸透を踏まえた規制・監督の見直しが必要。
② サイバーセキュリティ対策に係る連携強化と社会的な受容
サイバーリスクの深刻化に対し、官民でのインテリジェンス共有など、個別対応(自助)を超えた連携(共助、公助)が不可欠。被害拡大防止に「能動的なシステム停止」が必要となることを踏まえ、平時から社会的な理解を得るための取組が重要に。
③ AI リスクに対応するための国際協調
AI はグローバルベースで解決すべき課題が多く、国際連携が不可欠。米中対立等で分断リスクが高まるなか、わが国は欧州等のミドルパワーと連携し、AI サプライチェーンの集中リスクやAI ガバナンスに関する規範作成を主導していく必要あり。


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