リサーチ・フォーカス No.2026-023 中小企業財務の現状と求められる金融機関の役割 2026年07月10日 谷口栄治中小企業の売上高、経常利益は、増収・増益を維持。もっとも、25年度は、金利上昇や人手不足等を背景に、支払利息と人件費が顕著に増加。また大・中堅企業対比では、業績、景況感ともに回復に遅れ。中小企業向け貸出残高(25年度末)は、前年比+6%程度と伸びが加速。ただし、債務負担を測る指標である債務残高月商比や債務償還期間は、売上高やキャッシュフローの回復を主因に低下基調。一方、日本銀行の政策金利引き上げにより、中小企業の借入金利の水準は大きく上昇。企業倒産件数や代位弁済件数は、コロナ前の水準を上回って増加。とはいえ、小規模・零細企業の増加が大半であり、金額ベースでみた地方銀行の与信関係費用や不良債権比率への影響は限定的。今後の中小企業の経営課題として、①金融市場の変動(金利上昇・円安)、②海外リスク(地政学リスクの高まり等)、③国内の構造問題(人手不足等)、が顕在化。金融機関としては、中小企業の競争力強化、生産性向上を強力にサポートするため、以下の取り組みが重要に。・的確な実態把握と能動的な伴走支援中小企業を取り巻く経営環境が厳しさを増すなか、金融機関としては、対面(対話等)・非対面(データ分析等)の双方で、顧客の実態を的確に把握し、環境変化に先回りしてソリューションを提供する能動的な伴走支援が重要に。・事業性融資の推進とDX・AX(AI活用)のサポート顧客の事業価値を包括的に評価して融資を行う「事業性融資」が不可欠。とりわけ、本年5月からスタートした新たな担保制度である「企業価値担保権」は、事業承継やM&Aといった新陳代謝の局面で有効となるため、金融機関としては目利き力の向上が求められる。また、中小企業の生産性・効率性向上の観点から、バックオフィス業務を効率化するプラットフォームの提供など、企業のコスト構造改革への深く関与していく必要あり。(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)