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リサーチ・フォーカス No.2026-022

交付金で膨らむ地方自治体の基金 ―財源置換を抑制する制度設計を―

2026年07月07日 立岡健二郎


地方自治体が保有する基金が過去最高水準に達しており、とりわけ2021年度以降の増加が著しい。その背景には、国がコロナ禍以降に交付してきた「地方創生臨時交付金」がある。同交付金のうち使途の自由度が高い交付枠が、すでに予定されていた事業の財源に充てられた結果、自治体の財源に余裕が生じ、その一部が基金として積み上がった可能性がある。

この見方と整合的な動きが、自治体の決算データから確認できる。2020年度以降、国庫支出金から「一般財源等への振替」が増加するとともに、翌年度以降の基金積立額も増えている。個別自治体の動きをみても、振替額が多い自治体ほど基金積立額も大きいほか、人口規模の小さい自治体ほど振替割合が高い傾向がみられる。

こうした状況について、2つの問題点を指摘できる。第一に、交付金本来の趣旨からの逸脱である。交付金は、基本的には国が定めた使途に沿って用いる特定財源であり、自治体には、その趣旨に沿った事業を追加的かつ迅速に実施することが求められる。にもかかわらず、交付金が既存事業に充てられ、結果的に基金が積み上がっているとすれば、実質的な財源転用と支出時期の先送りに当たる。

第二に、国と地方の財政的不均衡を拡大させていることである。近年の基礎的財政収支は、国が赤字、地方が黒字という構図にある。国が借金を増やして地方への財政移転を図る一方、地方がその一部を基金として滞留しているとすれば、国全体としての財政運営が効率的ではない可能性がある。

今後も大規模災害などの緊急時には、使途の自由度が高い交付金が活用される可能性が高い。こうした制度を有効に機能させるためには、①自由度の高い交付金は緊急・不測の事態への初動対応を中心とする、②交付金は趣旨に沿った追加的な支出に充てることを原則とする、③自治体の執行能力を踏まえた交付額を設定する、といった制度設計が重要である。


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