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リサーチ・フォーカス No.2026-010

わが国金融資本市場における不公正取引是正に向けた政策対応 ~「市場制度ワーキング・グループ」報告書を踏まえて~

2026年05月11日 谷口栄治


わが国では、NISA 拡充による個人投資家の増加やガバナンス改革に伴う株式公開買付(TOB)の増加、HFT(高速・高頻度取引)の普及など、資本市場が変化するなか、市場の公正性と透明性の確保が重要に。2025年12月に、市場監視機能の強化を目的に、金融審議会「市場制度ワーキング・グループ(WG)」の報告書が策定され、その内容を踏まえ、本年の通常国会で金融商品取引法(金商法)改正案を上程。

市場制度WG 報告書では、主に以下の4つの規制強化策を提言。
【インサイダー取引規制の対象拡大】
TOBに係るインサイダー取引規制の規制対象として、「対象企業(買われる側)」の関係者(親会社役職員、契約締結者等)を追加。
【課徴金算定方法の見直し】
TOBに係るインサイダー取引の課徴金について、価格上乗せ(プレミアム)の実態を反映した算定方式を導入。また、HFTによる相場操縦に対する課徴金について、HFTの取引特性を踏まえ、「1日単位」の算定方式を適用。
【課徴金の対象拡大(第三者口座・協力者への対応)】
他人名義口座を利用した不公正取引について、課徴金額を通常の1.5倍に引き上げ。さらに、口座提供等の「協力者」に対する課徴金を新設。
【当局の調査権限等の拡充】
国際的な調査協力(IOSCO EMMoU)への署名を念頭に、出頭命令権限を追加。また、悪質な「無登録業者」を証券取引等監視委員会の犯則調査対象に追加。

今回の制度改正を受けて、金融当局や市場関係者として、以下の3点が必要に。
① TOB公表後は株価が急騰しやすくインサイダー取引を誘引。ガバナンス改革を受けてTOBの増加が見込まれるなか、課徴金水準の妥当性を継続的に検証すべき。
② SNSを悪用した不公正取引(口座売買等)の懸念が増大。悪質な違反者に対する厳格な制裁と、不公正取引の社会的ペナルティに関する啓発強化が不可欠。
③ HFTやアルゴリズム取引の高度化により、手動の監視は限界に。当局や取引所はAI等を活用した調査・検知能力の向上(SupTech)を推進すべき。


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