リサーチ・フォーカス No.2026-004 米国における子どもの資産形成支援制度「トランプ口座」の概要 2026年04月17日 桂田健吾米トランプ政権は2025年7月、子どもの資産形成を支援する新たな税制優遇プログラムとして、「トランプ口座(Trump Accounts)」の創設を決定。トランプ口座は、18歳未満の子どもを対象とし、親に加えて親の雇用主や非営利団体等が資金を拠出する投資用口座。投資対象はS&P500などの米国株式指数に連動した投資信託またはETF に限定。長期投資を通じた資産形成を促すため、引き出しは18歳以降に限定され、大学授業料や住宅購入資金などに利用可能。さらに、2025~28年に生まれた新生児については、連邦政府が1人当たり1,000ドルを拠出するパイロット・プログラムを実施。トランプ口座は、経済界から好意的に評価されており、デル・テクノロジーズ創業者であるマイケル・デル氏が62.5億ドルの寄付を表明しているほか、金融機関やテクノロジー企業を中心に多くの企業が従業員の子どもの口座への資金拠出を表明。一方、トランプ口座については、既存の税制優遇口座が多数あるなかで新たな制度が創設されることで制度の濫立につながる点、引き出し時に非課税措置がないなど、税制優遇効果が限定的である点、親の資力によって資金拠出に違いが生じ、結果的に子どもの資産格差拡大につながる恐れがある点、などが課題として存在。もっとも、すべての子どもが早期に株式市場にアクセスし、資産形成を始めることができる点や、政府による初期拠出を呼び水とし、寄付や企業の資金拠出を促す仕組みは、子どもの資産形成を社会全体で支える試みとして大きな意義あり。わが国では、2027年から「こどもNISA」が開始予定。制度の利用拡大や政策効果の実現に向けて、トランプ口座から得られる示唆は以下の2点。① 子どもがいる世帯に対して子どもの資産形成の重要性に対する理解を促し、「こどもNISA」の利用を促進し、具体的な活用方法を共有していくことが重要。② 将来的に、企業や非営利団体等からの資金拠出の受け皿となるよう制度を拡充し、子どもの資産形成を社会全体で支える仕組みにしていくことも一案。(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)