リサーチ・フォーカス No.2026-003 中国第15次5カ年計画におけるエネルギー重点分野の注目点 2026年04月15日 王婷中国では、2026年3月、全国人民代表大会で「中国国民経済・社会発展第15次5カ年計画綱要」が採択・公表された。この計画は2026~2030年の発展の方向性や数値目標、重点施策を示す政策の羅針盤である。 今次計画では、「エネルギー強国の建設」が初めて提起された点は注目に値する。この背景には、近年の国際的緊張を受けて経済安全保障の重要性が高まっていることがある。とりわけ、「2030年までにクリーン・低炭素・安全・高効率な新型エネルギー体系を初歩的に完成させる」との目標が重要である。これは、石炭・石油中心の従来型エネルギーシステムから脱却し、再エネを中心とするシステムへの本格的な転換を意味する。これにより、政府はエネルギー自給率の向上と脱炭素目標の達成を同時に図る構えである。 この実現に向けて、エネルギー施策の重点分野は4つに整理できる。第1に、供給側改革である。火力発電の柔軟性・高効率化、グリッドのレジリエンス向上、新型電力システムの構築が進められる。第2に、エネルギー貯蔵強化である。新型貯蔵設備の大幅な拡充と技術開発の加速が見込まれる。第3に、需要側の柔軟性の向上である。デマンドレスポンスや仮想発電所(VPP)の活用などを通じて、需要側の効率化が図られる。第4に、環境価値市場の拡大である。市場メカニズムによる脱炭素目標の実現に向けて、排出権取引市場やグリーン金融の制度整備などが進められよう。 本計画のエネルギー分野で定められた目標や重点施策は、これまでの政府主導の取り組みや企業の積極的な対応を踏まえれば、一定の実現可能性を持つと評価できる。一方、再エネを中心とするシステム構築に向けた高度な制御技術の開発や、電力料金と電力市場の改革、再エネ設備の製造に必要な重要鉱物の安定確保など、解決すべき課題も残されており、その動向には引き続き留意が必要である。 (全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)