コンサルティングサービス
経営コラム
経済・政策レポート
会社情報

経済・政策レポート

リサーチ・フォーカス No.2026-002

都道府県間の税源偏在是正策の課題と今後の議論に求められる点 ―財政力格差の実態把握、税のあるべき論の徹底を―

2026年04月10日 立岡健二郎


都道府県間の税源偏在が、改めて重要な政策課題として浮上している。その背景には、豊富な財政力を有する東京都と他地域との間で、行政サービスに著しい格差が生じていることがある。実際、東京都では、近年、保育料や公立学校給食費、高校授業料の実質無償化など、手厚い行政サービスが次々と展開されている。こうした動向などを踏まえると、東京都の財政力が他地域に比べて際立っていることは明らかである。

こうした税源偏在は、わが国の制度的特徴に深く起因している。まず、地方交付税制度のもとでは、交付団体で自前の税収が増えたとしても、交付税が減額されるため、増収の 25%分しか手取りが増えず、税収増が財政力格差の縮小につながりにくい。さらに、わが国では、都市部に偏在しやすい法人所得課税が地方税として割り当てられており、その税収が東京都に集中しやすい構造となっている。

このような制度的要因に対応するため、国はこれまで法人事業税や地方消費税の見直しなど、累次の是正策を講じてきた。しかしながら、なお2つの課題が残されている。第1に、一般財源と標準的経費の比率で測られる「財政力」という観点では、格差是正の効果が限定的であり、交付税を含めた総体としての財政力格差の縮小には至っていない。第2に、税収の帰属のあり方という観点では、格差是正という政策的判断が優先されるあまり、制度設計に歪みが生じている。たとえば、東京都では消費規模が大きいにもかかわらず、消費税収が抑えられており、本来の消費地課税の原則と乖離している。

今後は、東京都への税源集中を是正する措置を検討するにあたり、次の点が重要となる。第1に、格差の実態や是正の程度を的確に把握することである。そのためには自治体の財政力、とりわけ標準的経費を適切に測ることが求められる。第2に、税のあるべき論(税収帰属の適正化)と政策目的(税収格差是正)を明確に区分し、それぞれを整理したうえで議論を進めることである。


(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)
経済・政策レポート
経済・政策レポート一覧

テーマ別

経済分析・政策提言

景気・相場展望

論文

スペシャルコラム

YouTube

調査部X(旧Twitter)

経済・政策情報
メールマガジン

レポートに関する
お問い合わせ