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リサーチ・フォーカス No.2025-070

第5次観光立国推進基本計画のポイント

2026年03月13日 高坂晶子


2026年1月末、本年4月から実施予定の第5次観光立国推進基本計画の素案(以下、5次計画案)が公表された。同案は目指す観光の姿として、地域住民と観光客双方の満足度向上、交流人口・関係人口の拡大と国際相互理解の促進、「働いてよし」の観光産業の実現、の3点を打ち出している。

次いで、今後5年間に注力する方向性として、5次計画案は、①観光の持続的な発展、②消費額拡大、③地方誘客促進、④観光と交通・まちづくりとの連携強化、⑤新技術の活用・本格展開の5点を挙げている。①から③で現行4次計画の方向性を踏襲しつつ、新たに採用する④と⑤では、観光が住民生活やビジネスに及ぼすプラス効果に目配りした内容となっている。

具体的な取り組みは3つに大別され、①インバウンドの受入れと住民生活の質の確保の両立、②国内交流・アウトバウンド拡大、③観光地・観光産業の強靭化、の各施策領域の下、200近い具体策が列挙されている。具体策は数が多いだけでなく、幅も広く、混雑・マナー違反への対応や地方への誘客強化といったオーバーツーリズム対策から、日本人の国内・海外旅行への支援、国際会議の誘致、観光産業の人手不足対策やAIなど最新技術による観光DXまで多岐にわたっている。

また、5次計画案は進捗状況を把握・管理するため11の数値目標を設定している。総じていえば、インバウンド関連には意欲的な目標が含まれ、国内関連では微増もしくは現状維持の目標となっている。

5次計画案の大きな特徴として、観光に起因する問題点を正面から取り上げ、解消に努めようとしている点を指摘できる。これまでの計画では、もっぱらインバウンド誘致のメリットを強調して観光立国にまい進する傾向がみられたが、5次計画案では、観光が引き起こす国民や事業者の不満・懸念の高まりに警鐘を鳴らし、対策が不可欠とする姿勢が見て取れる。こうした特徴を踏まえた施策として、オーバーツーリズム対策、受け入れ地域が観光から得るメリットの「見える化」と拡充、日本人の国内・海外旅行支援などを挙げることができる。

コロナ禍からの急速な再興でひずみが生じつつあるわが国観光を、望ましい成長軌道に乗せるうえで次期5 次計画の役割は重要である。パブリックコメントなど素案に対する国民の意見を踏まえ、観光が抱える課題に的確に応え得る次期計画の策定と実行が強く望まれる。


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