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リサーチ・フォーカス No.2025-051

BIS(インド標準規格局)規制の厳格化で「メイク・イン・インディア」は加速するか?

2025年12月08日 熊谷章太郎


インド政府が、BIS(インド標準規格局)による認証制度の厳格化を進めている。同制度の本来の目的は、工業製品の品質や安全性の確保を通じた消費者保護や商取引の効率化などにあるが、政府はそれとともに輸入代替工業化を促そうとしている。

同規制は地場企業と海外企業に等しく適用されるが、一般に、海外のみに工場を有する企業の規制対応コストは、インド国内で生産活動を行う企業よりも大幅に高くなる。そのため、インド政府は、同規制の厳格化をきっかけに、海外企業が現地生産への切り替えを進め、製造業の発展ペースが加速することを期待している。

もっとも、規制厳格化には負の側面もある。過度な規制厳格化は、①企業の規制対応の遅れに起因するサプライチェーンの混乱、②規制対応コストを反映した製品価格の上昇、③規制対応が困難な企業の事業縮小・撤退、などの経路からインドの製造業の発展を制約する。政府は足元でこれらの悪影響に配慮する姿勢を強めており、規制内容の見直しや導入時期の延期などの措置を相次いで発表している。今後も、様々な規制が二転三転する可能性には留意が必要である。

インドビジネスへの関心が高まるなか、日本はBISの規制内容や円滑な認証取得に関する情報共有体制の拡充を通じて、規制対応力を引き上げる必要がある。また、規制内容の明確化や認証プロセスの簡素化などを様々なルートからインド側に粘り強く働きかけていくことも求められる。


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