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リサーチ・フォーカス No.2025-039

第2次トランプ政権初期の経済安全保障―「ディール」重視の危うさ―

2025年10月01日 福田直之


米国のトランプ大統領は第1次政権下、中国に対し強硬姿勢を強め、軍事転用が可能で国家安全保障への影響が強い新興技術分野などにおいて、米中経済の切り離しを開始した。第2次政権下でも大枠は変わらず、中国に対する強硬な政策は続いている。

しかし、中国が輸出規制していたレアアース(希土類)磁石の供給再開と引き換えに、高性能半導体の輸出を許可するなど、安全保障のリスク評価よりも「ディール」(交渉)を優先する動きが見られる。また、同盟国・友好国への追加関税実施など、多国間協調への姿勢は弱まっている。こうしたなか、中国との対峙方法も多国間連携による包囲ではなく、ディールを取り入れた二国間交渉を重視する姿勢が明らかとなっている。

このディール重視は、対中制裁の一貫性を欠き、執行への信頼性を損ね、結果として規制の強度を弱めかねない。さらに、二国間協議を通じて、米国は同盟国・友好国からも有利な条件を引き出し、それらの国の利益を損ねる恐れも強まっている。長期的には同盟国・友好国との足並みは乱れ、米国の経済安全保障政策のターゲットである中国を逆に利することになる恐れもある。

こうしたトランプ政権の姿勢は、短期の取引成果と引き換えに中長期の制度的信頼と同盟の結束を毀損するリスクが高い。いずれもトランプ大統領のビジネス観に根ざす特性であり、2029 年の任期切れまでこうした事態が繰り返される可能性がある。


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