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リサーチ・フォーカス No.2025-037

50歳代を迎える就職氷河期世代の“いま”と“これから” ―親の老後、自身の老後への備えが今後重要に―

2025年09月17日 下田裕介


バブル経済崩壊後に新卒採用に臨んだ就職氷河期世代にまつわる問題が顕在化して30年近くが経過。足元では、構造的な人手不足のもと、長年課題であった雇用環境が改善する一方、所得改善は道半ば。

こうしたなか、就職氷河期世代は資産形成が不十分で、持家比率も低水準。また、経済的理由から親の収入・資産を頼って同居するケースが多くあるほか、女性がより厳しい状況にあるなどの課題が存在。

就職氷河期世代が50歳代を迎えるなか、今後は、①親の介護に伴う負担(70万人が経済的困窮のおそれ)、②低年金や金融資産の少なさを背景とする老後資金の不足、③老後の住まいの不安(189万世帯が住宅取得の意向なし)、といった新たな問題に直面するおそれ。

就職氷河期世代への支援として、従来の雇用・所得面への対応に加え、今後深刻化が懸念される新たな課題に対して、求められる対応の方向性は以下の通り。

① 親の介護による負担増
雇用形態にかかわらず仕事と介護を両立しやすくするための支援が必要。相対的に介護負担が重いとみられる単身女性に対するサポートも重要。

② 老後資金の不足
希望する人が働き続け、安定的な収入が得られる環境や、厚生年金の適用拡大、年金の遡及納付など年金の加入・増加を促す仕組みづくりが必要。見送りとなった基礎年金底上げについては、年金積立金の活用の是非や財源など議論を深めていく必要。一方、資産形成の面では、金融教育を通じて、資産形成を促すだけでなく、転職・副業によって収入を増加させ、資産形成の元手となる資金を増やしていくことが肝要。

③ 老後の住まいへの不安
賃貸時の保証人引き受け、支援法人による借り上げ促進など、居住支援法人のサポートを厚くするほか、今後増加が見込まれる空き家や中古住宅、公営住宅などを活用した低負担の住宅供給も一案。


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