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リサーチ・フォーカス No.2025-036

トランプ政権における暗号資産政策

2025年09月11日 谷口栄治


米トランプ政権は、暗号資産に関して、バイデン政権における規制強化の方針から融和的な政策姿勢に転換。それを受けて、ビットコイン価格は最高値を更新。

トランプ政権では、政権発足直後に、①暗号資産等に関する作業部会の設置、②証券取引委員会(SEC)の委員長交代、を行ったほか、その後も、③ビットコインをはじめとする暗号資産の戦略備蓄の検討、④暗号資産に係る規制・監督態勢の明確化(クラリティ法)、⑤米ドル建てステーブルコインに係る法整備、⑥中央銀行デジタル通貨(CBDC)の検討中止(反CBDC 監視国家法)、⑦暗号資産業界に対する金融機関の不当な取り扱い(デバンキング)の禁止、⑧企業型確定拠出年金(401k)における暗号資産を含むオルタナティブ投資の促進等、矢継ぎ早に政策を推進。

なかでもステーブルコインの法整備については、本年7月、「ジーニアス法(GENIUSAct)」が成立。同法では、決済用ステーブルコインについて、発行者を銀行子会社や事業会社に限定したうえで連邦当局・州当局の監督対象とする、ステーブルコインの裏付資産を預金や短期国債に限定し、その内訳を毎月開示する、既存金融機関(銀行等)と同様のマネーロンダリング規制を遵守する、といった要件を規定。

トランプ政権における暗号資産政策の大転換を受けて、本邦金融セクターとして、以下の2点に留意する必要。

① 暗号資産:投資拡大を受けた伝統的な金融市場との連関性の高まり
トランプ政権の政策やビットコインETF 解禁等を背景に、暗号資産投資に踏み切る機関投資家が増加するなか、株式市場等の伝統的な金融市場との連関性が向上。暗号資産価格下落による金融市場や金融システムに及ぼす影響を注視するとともに、暗号資産事業者のリスク管理・ガバナンスに対する監督強化が必要に。

② ステーブルコイン:利用拡大が金融システムにもたらす変化とリスク
ステーブルコインの活用を通じて、決済に要する時間やコストの削減が期待される状況。ジーニアス法の成立を機に、ステーブルコインの利用拡大が予想されており、米国では大手金融機関や事業会社等が発行を検討。一方、国際決済銀行(BIS)は、価格の安定性や悪用リスク、償還急増(取り付け騒ぎ)時の金融リスク、新興国や途上国における通貨主権の喪失といった課題を指摘。本邦金融セクターとしては、米国におけるステーブルコインの活用・普及状況や、ステーブルコインに関する国際的な議論を踏まえた対応が必要に。


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