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リサーチ・フォーカス No.2024-067

金融資産のトークン化により期待される効果と今後の課題

2025年03月05日 谷口栄治


金融資産のトークン化(Tokenization)とは、金融資産をブロックチェーン上で、デジタル形式で表章・取引するプロセスであり、銀行預金をトークン化する「預金トークン」、有価証券をトークン化する「セキュリティトークン」等が存在。海外では、活用事例として、米大手行(JPMorgan Chase、Citi)による預金トークンや、様々なトークン化資産をやりとりする統合台帳(Unified Ledger)構想等が存在。

金融資産のトークン化により、あらかじめ規定した取引を自動化するプログラマビリティ機能を活用できるようになるため、取引処理コストや管理コストの軽減、24時間取引の実現、金融商品の小口分散、決済期間の短縮等の効果を期待可能。

一方、実用化に向けては、以下のような課題が存在。

① 既存の金融インフラの代替可能性・相互運用性(インターオペラビリティ)
既存の金融インフラを即時に代替することは困難。併存する場合は、複数の金融インフラを安定的に接続・運用する必要あり。

② オペレーショナル・リスク、ガバナンス
新たな金融プラットフォームとして確立すれば、トラブル時の影響が甚大に。外部事業者との接続を前提としているため、サードパーティ・リスクも課題。

③ 法規制・監督態勢の整備
規制・監督態勢の整備が不十分な法域があり、クロスボーダー活用の障壁に。

④ 金融リスク(流動性リスク)
トークン化資産と参照対象となる原資産との満期の違いにより償還できなくなる、取引の自動化によって機械的な投げ売りが生じる等のリスクが存在。

わが国金融セクターとしては、企業活動の生産性向上やわが国金融市場の国際競争力強化の観点から、金融資産のトークン化を積極的に推進する必要あり。一方、前述の課題の克服やリスク軽減のために、官民による連携に加え、デジタル金融分野で先進的な取り組みを行っている米国、欧州、シンガポールといった海外当局との緊密な情報連携や解決策の共有等を進めていく必要あり。


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