リサーチ・アイ No.2026-059 英国で深刻化するニート問題 - 増加が続けば、英国経済・財政を一段と圧迫するリスク - 2026年10月05日 ジェイムズ・パターソン英国では、ニート(就業せず、教育・職業訓練も受けていない16~24歳の若者)の数が近年増加し、2026年4~6月期には約100万人に。若年層に占める割合は13%と、若者の約8人に1人がニートになっている状況。ニートが増加している背景として、次の2点が指摘可能。第1に、健康問題を抱える若者の増加。就労に支障をきたすほどの健康問題を抱えるニートの割合は、2015年の26%から2025年に44%へ上昇。メンタルヘルスの不調が主要な健康問題に。第2に、若年層の雇用環境悪化。16~24歳の失業率は、足元でコロナ禍のピークを上回る水準に上昇。企業は採用を抑制しており、小売業や宿泊・飲食サービス業といった、従来若年層が多く就労していた産業の欠員は減少。加えて、政府による最低賃金の引き上げを受けて、一部の企業では若年層を採用する意欲が弱まった可能性も。最低賃金の水準は、足元にかけて若いほど大幅に引き上げられており、若年層を雇用するコストが増加している可能性。ニートの増加は、英国の経済・財政に悪影響。政府の委託を受けてニート問題を調査した「ミルバーン・レポート」の中間報告は、ニートが就業していないことによるGDPの損失が年間380億ポンド(約8.0兆円)、それにより得られなかった税収や追加の福祉支出などの合計が年間66億ポンド(約1.4兆円)にのぼると試算。ニートの数が今後も増加し、無業状態が長期化すれば、英国の経済成長力が低下し、税収減や福祉支出などの増加を通じて財政のさらなる悪化につながるリスクあり。(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)